ホーム › 制度解説 › 自立支援医療のオンライン化

SYSTEM・制度 × 記録・書類

自立支援医療の手続きがオンラインに寄る|令和8年度中の全国展開と、事業所の代行がどこで止まるか

対象:事務担当・サービス管理責任者・管理者最終更新:2026-09-08著者:合同会社サン 代表 菅野 竜輔

自立支援医療がオンラインになる、という話が事務室でも出るようになりました。ただ、今動いているものは1つではなく2つあって、期日も所管も違います。ひとつは医療機関の窓口でマイナ保険証から受給者証を確認する仕組みで、これは国が令和8年度中の全国規模の導入を目指しています。もうひとつは申請そのもののオンライン化で、こちらは市区町村や都道府県が個別に始めています。事業所の事務にいちばん効くのは後者で、しかも代行できるかどうかの扱いが自治体で割れています。この記事では、確認できた一次情報だけを使って、いま決まっていることと、事務の手順のどこが変わるかを分けて書きます。

自立支援医療の手続きがオンラインに寄る|令和8年度中の全国展開と、事業所の代行がどこで止まるか の要点をまとめた図(合同会社サン 福祉DX お役立ちブログ)

まず、混ざっている2つを分ける

自立支援医療のデジタル化として語られているものは、実際には別々の話です。事務の準備も変わってくるので、最初に分けます。

何の話か誰が動くかいまの段階
オンライン資格確認(受給者証をマイナンバーカードで確認する)国、都道府県・市区町村、医療機関・薬局令和8年度中に全国規模での導入を目指す段階
申請のオンライン化(マイナポータル等で更新や変更を出す)市区町村・都道府県が個別に導入導入済みの自治体と未導入の自治体が混在

前者は、利用者が病院の窓口で紙の受給者証を出さなくてよくなる話です。後者は、事務所で書類を作って窓口に持っていく作業がオンラインで済むかどうかの話です。事業所の負担に直結するのは後者ですが、期日がはっきり公表されているのは前者だけ、という状態になっています。

オンライン資格確認は、令和8年度中に全国規模を目指している

厚生労働省が令和8年1月28日に開いた自治体説明会の資料に、進み方が数字で書かれています。医療費助成のオンライン資格確認は、令和5年度と6年度に183自治体(22都道府県、161市町村)が先行実施事業に参加し、令和7年度中に600を超える自治体に拡大する予定とされています。そのうえで、医療DXの推進に関する工程表とデジタル社会の実現に向けた重点計画にもとづき、令和8年度中に全国規模での導入を目指す、と明記されています。

制度化の対象には、障害者総合支援法の精神通院医療、更生医療、育成医療、療養介護医療が入っています。対応が必要な実施主体は、精神通院医療が都道府県と指定都市、更生医療と育成医療と療養介護医療が市区町村です。つまり自立支援医療は3つとも対象に入っていて、更生医療と育成医療については、日ごろやりとりしている市区町村の窓口が改修の当事者になります。

予算の付き方も出ています。自治体のシステム改修等補助金は1制度当たり基準額500万円で補助率は2分の1、医療機関・薬局のレセコン改修補助は病院が28.3万円を上限、診療所と薬局(大型チェーン薬局以外)が5.4万円を上限、大型チェーン薬局が3.6万円を上限とされています。加えて、システムの管理や運用は令和9年度から社会保険診療報酬支払基金へ移管する予定とされています。ここまでが、日付と金額まで公表されている範囲です。

御法人の所在市区町村が導入済みかどうかの調べ方から、事務手順の書き換えまで一緒に整理します。相談は無料です。

公式LINEで相談する

埼玉県は令和8年2月9日から。ただし紙は残る

身近な例として埼玉県を見ます。埼玉県はデジタル庁が開発した自治体・医療機関等をつなぐ情報連携システム、通称PMHに参加していて、令和8年2月9日から、自立支援医療(精神通院医療)の受給者はマイナンバーカードを受給者証として利用できるようになりました。医療機関側はオンライン資格確認等システムを通じて受給者証情報を確認できます。

ここで読み落とせないのが、県が同じページに書いている留意事項です。紙の受給者証も引き続き交付すると明記されています。さらに、PMHに対応した医療機関は限られている、とも書かれています。運用が始まった県でも、カードで済む医療機関と紙が要る医療機関が当分は混在するということです。

もう1つ、事務にとって重要な一文があります。自己負担上限額管理票はPMHに対応していないため、引き続き紙での管理が必要、という記載です。これは埼玉県だけの事情ではありません。

自己負担上限額管理票は、電子化されない前提で組む

厚生労働省の自治体説明会資料には、自治体からの質問と回答がそのまま載っています。負担上限額管理票の取扱いはどうなるか、という質問に対して、回答はこうです。自己負担上限額管理票の内容についてはマイナ保険証によるオンライン資格確認で読み取ることができないため、自己負担上限額管理票をお持ちの場合は受診時に必ず持参するよう受給者の方に伝えてほしい。周知の在り方は今後検討する、と続きます。

ここが、現場の期待といちばんずれるところだと思います。カード1枚で受診できるようになる、という話だけが伝わると、管理票を持たせない運用に流れてしまいます。上限額の管理は今までどおり紙で回る前提で、持ち物の案内文を書き換えないでください。むしろ、受給者証がカードで済むようになる分だけ、管理票を忘れやすくなります。

申請のオンライン化は、自治体ごとに範囲が違う

ここからが、申請そのものの話です。国が一律に決めたものではないので、自治体ごとに読むしかありません。公表されている4つの例を並べます。

自治体オンラインでできることオンラインでできないこと
横浜市(令和7年2月開始)診断書提出が不要な回の更新申請、変更申請(保険証情報・生活保護の受給状況・氏名・住所・指定医療機関等)、再交付申請、市外転入申請新規申請、再申請、診断書提出が必要な回の更新申請、受給者証の返還
札幌市診断書を必要としない更新申請、通院医療機関・薬局の変更、健康保険情報の変更新規申請、診断書が必要な更新申請、訪問看護ステーションやデイケアの追加、名前や住所の変更
八王子市診断書不要の更新、病院・薬局の変更その他の手続き
福岡市(更生医療)支給認定期間が満了する前の更新申請ページに記載の範囲外の手続き

並べてみると型が見えます。オンラインで通るのは、診断書が要らない更新と、書類が増えない軽い変更です。新規申請と、診断書が要る回の更新は、どの自治体でも窓口に残っています。手間のかかる手続きほど窓口に残る、という言い方でおおむね当たります。

そして、札幌市と横浜市を比べると、同じ精神通院医療でも対象の切り方が違うことが分かります。住所変更は横浜市ではオンラインで出せて、札幌市では出せません。自治体をまたいで働く法人ほど、手順書を1本にまとめられないということです。

代行の可否が、自治体で割れている

事業所の事務にとって、いちばん影響が大きいのがここです。書きぶりを、そのまま引きます。

横浜市は、オンライン申請ができるのは受診者本人のみとしたうえで、受診者が18歳以上の場合のご家族や法定代理人、施設の方等はオンライン申請していただくことはできません、と明記しています。受診者が18歳未満の場合は保護者による申請が可能です。

一方、札幌市は、申請者は原則として受診する本人としたうえで、代行は可能と書いています。八王子市は申請者が本人であることを要件にしていて、マイナンバーカードの取得が困難な場合は郵送で申請書類の代理作成を依頼できる、という案内になっています。福岡市の更生医療は、更生医療受給者ご本人が対象と書かれています。

つまり、これまで事業所の職員が代わりに書いて窓口に出していた手続きが、オンラインに移った瞬間に本人しかできなくなる自治体があるということです。オンライン化は事業所の事務を減らす方向にだけ働くとは限りません。

理由ははっきりしています。オンライン申請にはマイナンバーカードと、利用者証明用電子証明書の暗証番号(数字4桁)、署名用電子証明書の暗証番号(英数字混在6から16桁)が要ります。この暗証番号を職員が預かって入力する運用は、本人確認の前提を崩します。カードと暗証番号を職員が扱ってよい話ではない、という線が引かれていると読むのが自然です。

本人がカードを持っていない、暗証番号が分からない。この2つが出てきたときの手順を、支援計画に落として整理できます。

公式LINEで相談する

事務の手順は、こう組み替える

ここまでの一次情報から言えることを、事務の動きに直します。

まず、更新の時期管理は今までどおり事業所が持ちます。自立支援医療の有効期間は1年以内です。オンラインになっても期限が延びるわけではないので、利用者ごとの満了日の一覧は残してください。むしろ、窓口に来てもらう機会が減る分、期限に気づく接点が減ります。

次に、診断書が要る年かどうかを、利用者ごとに分けます。埼玉県の案内では、申請書に添付する意見書の提出は原則2年に1度とされています。意見書は申請日から3か月以内に作成されている必要があるとも書かれています。診断書が要らない年はオンラインで通る可能性があり、要る年は窓口に残る。この分岐を先に持っておくと、どの利用者にいつ受診の予約を取ってもらうかが決まります。

そのうえで、本人がオンラインで出せる状態かを見ます。カードを持っているか、暗証番号を本人が管理できているか、マイナポータルにログインできる環境があるか。ここが揃わない人は、これまでどおり紙で進めます。オンラインに寄せられる人と寄せられない人を、名簿の上で分けてしまうのがいちばん早いです。

この5行が埋まれば、来年度の更新はほぼ回ります。書式は何でも構いません。既存の利用者一覧に列を4つ足すだけで足ります。

自分の自治体を確認する順番

調べる先を間違えると時間だけ溶けます。順番はこうです。

精神通院医療は、支給認定をするのが都道府県または指定都市で、申請の窓口はお住まいの市町村です。埼玉県も、申請窓口はお住まいの市町村の担当窓口になると案内しています。だから、オンライン申請をやっているかどうかは市区町村のページを見ます。一方、マイナンバーカードを受給者証として使えるかどうかは都道府県または指定都市の話なので、県のページを見ます。この2つを取り違えると、県のページを何度読んでもオンライン申請の記載が出てこない、という空振りになります。

更生医療と育成医療は、実施主体が市区町村です。こちらは市区町村のページだけで両方の話が完結します。

いま書かないほうがよいこと

事業所内の案内文に、次の3つは書かないでください。確認できていないか、事実と違います。

よくある質問

自立支援医療の申請は、全国どこでもオンラインでできるようになったのですか。
いいえ。申請そのもののオンライン化は、国が一律に決めたものではなく、市区町村や都道府県が個別に導入しているものです。横浜市は令和7年2月から、札幌市や八王子市も受付を始めていますが、導入していない自治体もあります。国が令和8年度中の全国規模の導入を目指しているのは、医療機関の窓口でマイナ保険証から受給者証の情報を確認する仕組み、いわゆるオンライン資格確認のほうです。申請と資格確認は別の話なので、分けて読んでください。
事業所の職員が、利用者に代わってオンライン申請をしてよいですか。
自治体によって扱いが違うため、その市区町村のページを読むまで判断できません。横浜市は受診者本人のみと明記していて、受診者が18歳以上の場合は家族や法定代理人、施設の方はオンライン申請できないとしています。八王子市も申請者が本人であることを要件にしています。札幌市は申請者は原則本人としたうえで代行は可能と書いています。福岡市の更生医療は本人が対象と書かれています。同じ制度でも書きぶりが違うので、事業所の運用は自分の自治体の記載に合わせるしかありません。
オンラインになれば、自己負担上限額管理票も要らなくなりますか。
要ります。厚生労働省は自治体向けの説明会資料で、自己負担上限額管理票の内容はマイナ保険証によるオンライン資格確認では読み取ることができないため、お持ちの場合は受診時に必ず持参するよう受給者に伝えてほしいとしています。埼玉県も、自己負担上限額管理票はPMHに対応していないため引き続き紙での管理が必要と案内しています。受給者証がカードで済むようになっても、管理票は紙のまま残る前提で運用を組んでください。
紙の受給者証はなくなりますか。
少なくとも当面は残ります。埼玉県は令和8年2月9日からマイナンバーカードを自立支援医療受給者証として利用できるようにしていますが、あわせて紙の受給者証も引き続き交付すると明記しています。また、PMHに対応した医療機関は限られているとも書かれています。カードだけで受診できる医療機関と、そうでない医療機関が当分は混在します。
オンラインでできない申請には、どんなものがありますか。
自治体によりますが、共通して外れているのが新規申請と、診断書の提出が必要な回の更新申請です。横浜市はこのほか再申請と受給者証の返還をオンライン不可としています。札幌市は訪問看護ステーションやデイケアの追加、名前や住所の変更を対象外としています。つまりオンラインで通るのは、書類が増えない軽い変更と診断書不要の更新に限られます。手間のかかる手続きほど窓口に残る、と考えておくのが安全です。

まとめ|今日やるのは、2つの言葉を分けることだけ

オンライン資格確認は令和8年度中の全国規模の導入を目指す段階で、対象には精神通院医療も更生医療も育成医療も入っています。申請のオンライン化はこれとは別で、市区町村ごとに範囲が違い、代行できるかどうかも割れています。自己負担上限額管理票は、どちらの話でも紙のまま残ります。

今日できることを1つ選ぶなら、御法人の所在する市区町村のページを開いて、自立支援医療のオンライン申請の記載があるかどうかを確かめることです。記載があれば、代行の可否がどう書かれているかまで読む。それだけで、来年度の更新で職員がどこまで手を出せるかが決まります。制度が決まってから読むより、いま読んでおくほうが手順を組み直す時間が取れます。

あわせて、書類の全体像を見直したい方は運営指導で見られる書類の全体像を、国のデジタル化の予定表そのものを追いたい方は国の医療DX方針に介護事業所が名指しで入ったもご覧ください。

出典(一次情報)

来年度の更新を、いまの人数で回せる形にしませんか

利用者ごとの満了日と意見書の要否、本人がオンラインで出せるかどうか。この3つを並べた一覧の作り方と、自治体ページの読み方をお渡しします。御法人の市区町村に合わせて整理してお返しします。

▶ 公式LINEで無料相談・更新管理の一覧を受け取る

LINEをお使いでない場合は メールでのお問い合わせでも承ります

合同会社サン / 福祉 × AI・DX / 全国オンライン対応(現地対応は要相談)
菅
菅野 竜輔(かんの りゅうすけ)/ 合同会社サン 代表社員
介護の現場から特別養護老人ホームと有料老人ホームの立ち上げ、施設長、ケアマネジャー、地域包括支援センターを経て、現在は福祉事業者向けにAI・DX・LINEの伴走支援を行っています。自社でも福祉施設を運営しており、利用者の制度申請の支援は当事者として経験しています。板橋区内の特別養護老人ホームでの導入実績あり。本記事は厚生労働省と都道府県、市区町村の公開資料を確認のうえ、AIを利用して作成し、人が事実確認と加筆を行っています。取扱いは自治体ごとに異なるため、実際の手続きは必ず所管の窓口でご確認ください。
▶ 運営者情報・実績はこちら / 埼玉県所沢市狭山ヶ丘・全国オンライン対応 / 公式LINE・[email protected]