なぜ確認項目が要るのか
福祉業界に生成AIの提案が急に増えました。中身の良し悪し以前に、比べる物差しがないのが困りどころです。A社は月10万円、B社は初期50万円。どちらが妥当かを判断する材料が、提案書には書かれていません。
そこで、当社が施設側の立場で「これを聞かれたら、まともな事業者かどうか判別できる」と考える15項目を出します。当社に有利な項目だけを並べても意味がないので、当社が答えにくい項目も入れています。
契約前に確認する15項目
A 体制と実務(5項目)
- 担当者は福祉の現場実務の経験があるか。記録も加算も運営指導も知らない人が設計すると、現場で使えない手順ができます。「介護の経験がある人はいますか」と聞いて、年数と職種を答えられるかを見てください。
- 月に何回、どんな形で関わるのか。訪問かオンラインか、回数は何回か。ここが曖昧な契約は、忙しくなると自然に減ります。
- 職員が入れ替わったときの再レクチャーは含まれるか。福祉は人が動きます。教え直しが別料金なら、実質の費用は倍になります。
- 窓口は1本か。営業と実務担当が別で、話が伝わらない体制は現場が疲れます。
- 緊急時の連絡手段と返答の目安。運営指導の前日に連絡がつかないと困ります。
B お金(4項目)
- 最低契約期間と、途中解約の条件。書面で確認してください。口頭で「いつでもやめられます」は根拠になりません。
- 月額に含まれる範囲と、含まれない範囲。「別途お見積り」がどこから始まるかを、契約前に線引きしておきます。
- 初期費用の中身。何を作る費用なのか、成果物は何か。
- 補助金を使うなら、どの事業のどの経費区分か。答えられない事業者は要綱を読んでいません。国のメニューではコンサル費が対象外の県が多数です(補助金の対象になるかの一覧)。
C 情報の安全(3項目)
- 利用者の個人情報をAIに入れる設計になっていないか。氏名や病名をそのまま生成AIに入れる手順を勧める事業者は避けてください。記号化してから使うのが基本です。
- どのAIサービスを使い、入力データが学習に使われない設定になっているか。サービス名と設定の名称まで答えられるかを見ます。
- 事故が起きたときの責任範囲が契約書に書かれているか。書いていない契約は、起きてから揉めます。
D 出口(3項目)
- 作った仕組みの所有権は施設側にあるか。契約が終わったら使えなくなる作りだと、乗り換えられません。
- 手順書は施設に残るか。人ではなく紙とデータに残っていれば、事業者が変わっても続きます。
- 効果をどう測って、続けるか止めるかをいつ判断するか。3ヶ月後に何を見て判断するかを先に決めておきます。
他社の提案書を見ながら、この15項目で一緒に点検することもできます。
▶ LINEで無料相談危ない見積りの見分け方
- 一式でいくら、としか書いていない。何にいくらかかるのかが分かれていない見積は、比較も交渉もできません。
- 効果を数字で断言している。「記録時間が50パーセント減ります」と契約前に言い切れる根拠は、普通ありません。施設の運用を見ていない段階での断言は疑ってください。
- 補助金ありきで話が進む。採択されなかったときにどうなるかを聞いて、答えが用意されていない場合は危険です。
- 急かす。「今月中なら」「枠が埋まる」。制度の締切は本当に動きませんが、業者の枠は交渉できます。
- 解約の話をすると機嫌が悪くなる。出口を説明できない相手とは、入口も結ばないでください。
当社にこの15項目を当てるとどうなるか
自分に甘い記事は信用されないので、当社の答えも書いておきます。
- 現場経験=代表が介護実務5年・施設長・ケアマネジャーを経験し、いまも自社で福祉施設を運営しています。
- 関わり方=プランごとに訪問とオンラインの回数を契約書に明記します。
- 個人情報=氏名や病名は記号化してから扱う前提で手順を組みます。生データを外部のAIに入れる設計にはしません。
- 所有権と手順書=作った仕組みと手順書は施設側に残ります。契約が終わっても使えます。
- 答えにくい項目=当社は少人数です。大手のような24時間体制の窓口はありません。緊急時の連絡手段は決めますが、深夜対応は約束できません。ここは正直にお伝えしています。
この15項目は、当社と契約するために作ったものではありません。他社と比べるときに使ってください。比べた結果、他社のほうが合っているならそれが正解です。
よくある質問
- 相見積もりは何社取るべきですか?
- 2社から3社が現実的です。それ以上増やすと比較の作業自体が重くなります。大事なのは社数より、この記事の15項目という同じ物差しで聞くことです。同じ質問をすると、答え方の差がはっきり出ます。
- 提案書の効果予測は信じていいですか?
- 契約前に効果を数字で断言している場合は、根拠を聞いてください。施設の運用を見ないうちに「記録時間が何パーセント減る」と言い切れる根拠は普通ありません。効果は導入後に測って判断するものです。
- 個人情報をAIに入れても大丈夫ですか?
- 氏名や病名をそのまま生成AIに入れる手順は勧めません。記号化してから使うのが基本です。事業者にどのサービスを使い、入力データが学習に使われない設定になっているかを、サービス名と設定名まで確認してください。
- 契約が終わったら、作った仕組みは使えなくなりますか?
- 契約次第です。だからこそ契約前に、作った仕組みの所有権が施設側にあるか、手順書が施設に残るかを確認してください。ここが押さえられていれば、事業者を変えても運用は続きます。
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