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介護保険の資格確認、API連携で現場は何が変わるか|介護ソフトで見られるものと残る仕事

対象:事務・管理者最終更新:2026-10-08著者:合同会社サン 代表 菅野 竜輔

変わるのは、見る場所です。介護ソフトがAPI連携に対応すると、職員はブラウザで介護保険資格確認等WEBサービスを開かなくても、ふだん使っている介護ソフトの画面で被保険者証や負担割合証の情報を確かめられるようになります。ただし、全部が介護ソフトに移るわけではありません。令和8年8月31日に公開されたAPI標準仕様書(第1.0版)を読むと、介護ソフトから呼び出せるのは4つの参照だけで、利用者の登録と同意の登録はブラウザに残ります。使える日付もまだ示されていません。この記事では、仕様書に書いてあることと書いていないことを分けて、事務と管理者がいま進められることを整理します。

介護保険の資格確認、API連携で現場は何が変わるか の要点をまとめた図(合同会社サン 福祉DX お役立ちブログ)

API連携とは、何をつなぐ話か

介護情報基盤の情報を事業所が見る入口は、介護保険資格確認等WEBサービス(以下、介護WEBサービス)です。電子証明書を入れた端末のブラウザから開いて使います。厚生労働省老健局の説明資料は、これまで利用者や家族に探してもらっていた負担割合証や限度額認定証などの情報を、介護WEBサービスで確認できるようになる、と説明しています。

ここで事務の手が止まるのは、画面が2つになることです。請求や記録は介護ソフト、資格の確認はブラウザ。見比べて、手で写すことになります。

API連携は、この2つをつなぐ仕組みです。令和8年5月27日の介護保険最新情報Vol.1505は、API連携に対応した介護ソフトを使うことで、職員はブラウザの画面にアクセスすることなく、業務で使っている介護ソフトの上で、被保険者証等の情報をはじめとする介護情報等を閲覧できるようになる、としています。

その技術的な取り決めが、国民健康保険中央会の策定したAPI標準仕様書です。5月に暫定版が出て、8月31日に確定版の第1.0版が公開されました(介護保険最新情報Vol.1539)。同じ通知で厚生労働省は、介護ソフトベンダに対し、仕様書に基づく改修の検討を依頼しています。つまり今は、作り方が決まり、ソフトの会社が作るかどうかを考え始めた段階です。

介護ソフトから見られるもの、見られないもの

仕様書には、介護WEBサービスのメニューのうち、どれが介護ソフトに公開されるかの表があります。介護情報・資格確認の部分を、そのまま整理します。

介護WEBサービスの画面中身(仕様書の説明)介護ソフトからのAPI
証情報介護保険被保険者証等の情報対象
認定情報要介護認定の情報として、認定調査票と主治医意見書の情報対象
認定審査会進捗認定審査会の進捗状況対象
住宅改修・福祉用具購入給付可能額等対象
利用者登録(4情報登録)保険者番号、被保険者番号、生年月日、性別コードで参照対象の利用者を登録する対象外
同意情報参照にかかる利用者の同意を登録する。登録状況を表示する対象外
ケアプラン作成依頼届出の代理提出居宅介護支援事業所と地域包括支援センターが届出を提出する。届出状況を表示する対象外
LIFELIFEに登録された情報の一部対象外
ケアプラン交付用ケアプラン情報の表示対象外
主治医意見書医師等が主治医意見書と請求書を登録し、保険者へ提出する対象外
災害時モード災害地域の事業所で確認の範囲を広げる特別運用対象外

読み取れることは2つあります。

ひとつは、介護ソフトに来るのは見る機能だけだということです。仕様書は、介護情報・資格確認のAPI連携は情報参照(取得)の1パターンで、情報登録や情報削除は行わない、と書いています。介護ソフトで何かを入力して、それが介護情報基盤に書き込まれる、という動きは、この部分にはありません。

もうひとつは、月々の事務でいちばん回数の多い確認が対象に入っていることです。被保険者証、負担割合証、減免や減額の認定証は、別紙の画面一覧でも参照のAPIとして並んでいます。更新のたびに利用者の自宅に届く証を見せてもらっていた確認が、介護ソフトの画面で済む可能性がある、というのが現場にとっての中心です。

なお、ケアプランを事業所どうしで送受信する機能は、同じ仕様書の別の章で扱われています。こちらは送信と受信が介護ソフトのAPIの対象です。移行の日付と手順はケアプラン連携は令和9年3月下旬に新仕様へにまとめています。

ブラウザに残る3つの仕事

介護ソフトが対応しても、介護WEBサービスのブラウザを開く仕事は残ります。表の対象外の行から、事務に関わるものを3つ挙げます。

1つめは、利用者を見られる状態にする手続きです。老健局の説明資料によると、介護WEBサービスで利用者の情報を見るには、事業所による本人確認と、利用者の包括同意の2つが要ります。本人確認の方法は、マイナンバーカードの読み取りか、被保険者証の情報の入力です。このうち4情報での利用者登録と、同意の登録は、仕様書の表で対象外になっています。新しい利用者を受けるたびに、ここはブラウザでの作業になると読めます。

2つめは、職員のアカウントづくりです。仕様書は、API連携の事前作業として、事業所単位でクライアント証明書を取得し、職員によるブラウザ操作でユーザIDとパスワードを職員個人単位で払い出す、としています。介護ソフト側の設定だけでは始まりません。

3つめは、届出と書類です。ケアプラン作成依頼届出の代理提出、LIFEの情報の表示、交付用ケアプランの表示は対象外です。居宅介護支援事業所と地域包括支援センターは、届出のためにブラウザを使う場面が続きます。

つまり、API連携が入ったあとの事務は、最初の登録と同意はブラウザ、日々の確認は介護ソフト、という二段になります。ブラウザでの手順を覚えなくてよくなるわけではありません。本人確認と包括同意の中身は介護情報基盤とは何かに書いています。

自法人のどの事業所で、どの確認が介護ソフトに移り、どれがブラウザに残るのか。事業所の種類をうかがって、切り分けをお手伝いしています。

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誰が何を見られるかは、ユーザの設定で決まる

管理者にとって大事なのはこの章です。API連携では、事業所で1つのIDを共有する形になりません。

仕様書によると、介護ソフトが介護WEBサービスにログインするときは、クライアント証明書の認証に加えて、ユーザIDとパスワードによる認証を行います。使うのは管理者ユーザか一般ユーザのIDで、職員個人単位で払い出すものです。

そして、そのユーザを払い出すときに、サービス種類と職種を設定します。仕様書は例として、介護保険被保険者証情報の参照はサービス種類や職種による制限がなく、認定情報はサービス種類が居宅介護支援、職種がケアマネジャーである場合に参照できる、と書いています。認定調査票や主治医意見書の情報は、誰でも見られるものではないということです。細かい組み合わせは別紙4に定められています。

同じ事業所番号で複数のサービスを運営している場合は、ユーザごとに、その職員の勤務に沿ってサービス種類を選びます(複数選択可)。職種も同じです。

仕様書の最後には責任分界点の項があり、介護ソフトの側が適切に管理する責任を負うものとして、次の2つを挙げています。

仕組みの名前は技術的ですが、事業所の言葉に直すと、退職した職員と異動した職員のIDを止める手順を持っているか、という話です。IDを作る担当は決めてあっても、止める担当まで決めてあるかは別です。ここは介護ソフトが対応する前から決めておけます。

もう1点、仕様書はアクセストークンの有効期限を60分、リフレッシュトークンの有効期限を8時間とし、切れた場合はログインからやり直す、と定めています。職員が実際にどの頻度でパスワードを入れ直すことになるかは、各ソフトの作り方によります。対応の案内が来たら、確かめる項目に入れてください。

決まっている日付と、決まっていない日付

通知には日付がいくつか出てきます。別々の話なので、分けて並べます。

項目確認できたこと出どころ
API仕様書(暫定版)の公開令和8年5月27日介護保険最新情報Vol.1505
API標準仕様書(第1.0版)の公開令和8年8月31日介護保険最新情報Vol.1539
ケアプランデータ連携システムの介護WEBサービスへの統合2027年(令和9年)1月の予定老健局の説明資料(令和8年8月)
ケアプランデータ連携標準仕様の実装(リリース)令和9年3月下旬頃の予定介護保険最新情報Vol.1539
ベンダーテスト国民健康保険中央会のホームページ等から別途お知らせがある予定介護保険最新情報Vol.1539
介護情報・資格確認のAPI連携が事業所で使える日確認した資料に日付の記載なしVol.1505は、ケアプランデータ連携システムと介護情報基盤との統合以降を予定、としている

取り違えやすいのは、令和9年3月下旬頃という日付です。これはケアプランデータ連携標準仕様の実装時期として書かれたもので、資格確認のAPI連携がその日に始まると書かれているわけではありません。資格確認の側について言えるのは、統合より後、というところまでです。

さらに、仕組みが動き出しても、自法人で使えるかどうかは別の2つの条件で決まります。ご利用中の介護ソフトが対応するか。そして、事業所のある市町村(保険者)が介護情報基盤の利用を始めているか。厚生労働省は、令和8年4月1日以降、準備の整った市町村から順次始め、令和10年4月1日までに全市町村での開始を目指す、としています。市町村がまだ始めていなければ、ブラウザでも介護ソフトでも、見られる情報がありません。

事務と管理者が、いま進められること

介護ソフトの対応を待つあいだにできることは、ブラウザで使う準備とほぼ重なります。API連携は、介護WEBサービスを使える状態の上に乗る仕組みだからです。仕様書も、事前作業として証明書の取得とユーザの払い出しを挙げています。

  1. クライアント証明書がどちらになるかを確かめる。仕様書では、電子請求受付システムで介護保険の請求をしている事業所は介護保険証明書、電子請求を行っていない事業所は介護DX証明書を使います。代理人が請求を行う際の介護保険証明書(代理人用)は利用できない、とも書かれています。請求を外に委ねている事業所は、ここを先に確かめてください。
  2. ユーザの名簿を作る。誰にIDを出すか、その人のサービス種類と職種は何かを、表にしておきます。管理者ユーザを誰にするかも決めます。管理者ユーザは一般ユーザのアカウントを管理する立場です。
  3. IDを止める手順を決める。退職と異動のとき、誰が、いつまでに止めるか。入退職の手続きの一覧に1行足すだけで足ります。
  4. 市町村の開始日を確かめる。事業所のある保険者が介護情報基盤の利用を始めているかを、介護情報基盤ポータルで見ます。事業所が複数の市町村にまたがる法人は、事業所ごとに並べてください。
  5. いまの確認の手間を数えておく。月初の負担割合証の確認、認定の更新の確認、認定結果の問い合わせに、月に何件、何分かかっているか。対応版の費用が示されたときに、入れるかどうかを決める材料になります。

5つめは、数えるのは1か月分で足ります。件数と、1件あたりのおおよその時間を、確認した人がメモするだけです。利用者の名前を外に出す必要はありません。

端末やカードリーダーの準備と、その助成については連携が始まる前に事務が確かめる4つの出口に書いています。

介護ソフトの会社に聞く4つ

対応するかどうかは、ソフトの会社にしか分かりません。問い合わせるときは、次の4つを分けて聞くと、返事が具体的になります。

2つめの問いには理由があります。仕様書は、APIの応答には介護WEBサービスの画面に表示する対象を超える項目が含まれる、と書いています。その中からどこまでを画面に出すか、台帳に写すかは、ソフトの作り方に委ねられる部分です。同じ対応済みでも、見るだけの製品と、台帳の更新まで手伝う製品に分かれる可能性があります。

ケアプランの連携についても同じ会社に聞くことがあるはずです。標準仕様の第4.1版と第5.0版のどちらに対応しているかの確認は、こちらの記事の問い合わせ文と一緒に送ると1回で済みます。ケアプラン連携は令和9年3月下旬に新仕様へ

よくある質問

API連携に対応した介護ソフトなら、ブラウザの介護WEBサービスは使わなくてよくなりますか。
なくなりません。API標準仕様書(第1.0版)では、介護ソフトから呼び出せるのは証情報、認定情報、認定審査会進捗、住宅改修・福祉用具購入の参照です。利用者登録(4情報登録)、同意、ケアプラン作成依頼届出の代理提出、LIFE、主治医意見書は対象外とされています。職員のユーザIDとパスワードを払い出す作業も、ブラウザの操作で行うと書かれています。
介護ソフトからのAPI連携は、いつから使えますか。
2026年10月8日時点で確認した資料には、介護情報・資格確認のAPI連携が使えるようになる日付は書かれていません。令和8年5月の介護保険最新情報Vol.1505は、リリース時期をケアプランデータ連携システムと介護情報基盤の統合以降としています。令和8年8月のVol.1539が示した令和9年3月下旬頃は、ケアプランデータ連携標準仕様の実装時期です。
API連携を待たずに、資格の確認はできますか。
できます。介護保険資格確認等WEBサービスは、電子証明書を入れた端末のブラウザから使う仕組みです。ただし見られるのは、事業所のある市町村(保険者)が介護情報基盤の利用を始めたあとです。開始日は市町村ごとに異なるため、介護情報基盤ポータルで確かめてください。
介護ソフトを通せば、職員は誰でも認定情報を見られますか。
見られる範囲は、ユーザを払い出すときに設定するサービス種類と職種で決まります。仕様書は例として、被保険者証情報の参照には制限がなく、認定情報はサービス種類が居宅介護支援、職種がケアマネジャーの場合に参照できる、としています。細かい組み合わせは仕様書の別紙4に定められています。
介護ソフトの会社が対応するかどうかは、どこで分かりますか。
厚生労働省は介護ソフトベンダに対し、仕様書に基づく改修の検討を依頼している段階です。ベンダーテストの案内は国民健康保険中央会から別途あるとされており、対応済みの製品の一覧は確認した資料にはありません。ご利用中の介護ソフトの会社に直接たずねるのが確実です。

まとめ|見る場所は移るが、入口の手続きは残る

API連携で変わるのは、被保険者証や負担割合証、認定の情報を見る場所です。介護ソフトが対応すれば、ブラウザと見比べて写す手間が減ります。一方で、利用者の登録、同意の登録、届出、職員のIDの払い出しはブラウザに残ります。

使える日付は、まだ示されていません。決まっているのは仕様で、決まっていないのは時期と、各ソフトの対応です。待つあいだに進められるのは、証明書の種類の確認、ユーザの名簿、IDを止める手順、市町村の開始日の確認、いまの手間を数えることの5つです。どれも、API連携が来なくても、ブラウザで使い始めるときにそのまま役に立ちます。

出典

この記事は2026年10月8日時点で公開されている情報に基づいています。API連携が事業所で使えるようになる時期、ベンダーテストの日程、介護ソフトごとの対応状況は、確認した資料には示されていません。仕様書は改訂されることがあります。実際の対応は、厚生労働省と国民健康保険中央会の最新の案内、ご利用中の介護ソフトの会社の案内、所管の市町村の案内でご確認ください。

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最終更新:2026-10-08

菅
菅野 竜輔(かんの りゅうすけ)/ 合同会社サン 代表社員
介護職、施設長、ケアマネジャー、地域包括支援センター、生活困窮者支援を経験。現在は社会福祉法人と福祉事業者向けに、生成AIの導入と定着の伴走をしています。本記事は厚生労働省の介護保険最新情報Vol.1505とVol.1539、国民健康保険中央会が策定したAPI仕様書(令和8年8月)、厚生労働省老健局の説明資料を確認のうえ、AIを利用して作成しています。記載は2026年10月8日時点の公開情報に基づいています。
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