国が数えている窓口は4つ しかも2つは道と都
数字の出どころは、厚生労働省が令和7年6月13日に策定した省力化投資促進プラン―障害福祉―です。ここに目標とKPIの表があり、都道府県ワンストップ窓口設置数の増加という項目に、現状として4、2026年に10以上、2029年に47という数字が並んでいます。令和11年までに全都道府県へ、という方針はここから来ています。
注意したいのは、この4という数字に付いている注記です。厚生労働省において把握しているもの、と書かれています。全国に調査をかけて数えた結果ではなく、国が把握できた範囲での数です。
そして同じプランの中に、自治体によるサポート体制の整備の例として4つの自治体が並んでいます。北海道、宮城県、東京都、長野県です。数としては4ですが、そのうち2つは道と都であり、県は宮城と長野の2つだけです。記事のタイトルには4県と書きましたが、正確には4自治体と読んでください。
さらに、令和8年3月に厚生労働省が公表した事例集を見ると、静岡県が令和6年10月に開設した窓口が開設済みとして紹介されています。静岡県はプランの4つの例には入っていません。つまり、いま現場が使える窓口は4よりは多い。けれども、どの都道府県に窓口があるのかを一覧で示した公表資料は、本記事の作成時点では確認できていません。自分の県にあるかどうかは、結局のところ自分で確かめるしかないのが現状です。
介護は47 障害は4 この差が現場に出ている
比較すると差がはっきりします。介護分野の介護生産性向上総合相談センターは、厚生労働省の相談窓口一覧に47都道府県すべてに設置されていると明記されています。相談は無料で、必要に応じて何度でも受けられるとされています。
障害福祉のほうは4です。この差は、制度の優劣というより、始まった時期の差です。介護で先に全国展開が進み、障害福祉はそれを追いかけている途中にあります。
この差は、KPIのもう一つの数字にも表れています。同じプランによると、ICT活用等により業務量の縮減を行っている障害福祉の事業所の割合は32.3パーセントです。これを2026年に50パーセント、2029年に90パーセント以上にするという目標が立っています。3年で3倍近くに増やす計算です。相談できる窓口が4つのままでその数字に届くとは考えにくく、だからこそ窓口の設置が先に進められています。
御法人の県に窓口があるかどうかが分からない段階でも構いません。都道府県名と、事業の種別をお知らせいただければ、確認すべき先を一緒に洗い出します。無料です。
公式LINEで相談する窓口があると、実際に何が受けられるのか
窓口という言葉からは、電話で質問に答えてくれる場所を想像すると思います。実際にはもう少し踏み込んだ支援が用意されています。事例集では、サポートセンターに求められる役割として、人材確保の支援、生産性向上の支援、経営改善の支援の3つが挙げられています。
開設済みの自治体で公表されている内容を並べると、次のようになります。数字はいずれも令和6年度の実績です。
| 自治体 | 受けられる支援と実績 |
|---|---|
| 北海道 | 北海道障がい福祉サポートセンター。令和6年4月開設。指定都市と中核市を除く道内の事業所が無料で利用可。電話や専用フォームでの相談、対面とオンラインの個別相談会、セミナー、処遇改善加算の解説動画の配信。令和6年度は29件の相談に対応 |
| 長野県 | 長野県介護・障がい福祉生産性向上総合相談センター。令和6年6月開設。介護と障害福祉を同一の窓口で扱う。業務内容の見直しの相談のほか、テクノロジー導入に係る専門家派遣による継続的な支援。令和6年度は17事業所を支援 |
| 静岡県 | 令和6年10月開設。既存の静岡県社会福祉人材センターに相談窓口の機能を追加する形。処遇改善加算の取得支援、採用支援、若手職員の定着支援、訪問支援と専門家派遣 |
| 宮城県 | 窓口の形ではなく、テーマごとに事業所を募集して選ぶ方式。処遇改善加算の取得支援と、ICT機器等の導入支援。アドバイザー派遣を3回程度、無料。令和6年度は10事業所を支援 |
| 東京都 | こちらも募集選定型。生産性向上等への取組支援では、選定された40事業所程度に対し、業務改善の専門家が訪問とオンラインで半年前後の伴走支援。聴取から提案まで最大5回、無料 |
気づくのは、相談件数がそれほど多くないことです。北海道で29件、長野県で17事業所、東京都で40事業所程度。都道府県内の事業所数を思えば、ごく一部しか使っていません。事例集でも、北海道が窓口自体の認知度を上げたいと述べ、長野県が介護と比べて障害福祉では窓口の存在自体をより周知する必要性を感じていると述べています。
裏を返せば、手を挙げた事業所は順番待ちをせずに専門家の時間を使えている、ということです。御法人の県に窓口があるなら、いま使うのがいちばん空いている時期かもしれません。
増え方には型がある 介護の窓口に相乗りする
これから開設される県が、どういう作られ方をするのかも見えてきました。事例集には、令和8年4月に開設予定の2県が載っています。
滋賀県は、令和7年4月に介護分野のワンストップ窓口を先に開設していました。そこに障害福祉分野からの相談が日常的に寄せられていたことから、令和7年9月に検討を始め、介護の委託先である県社会福祉協議会に相乗りする形で障害福祉のサポートセンターを開設します。支援メニューは相談窓口と事業所向け研修会の二本柱です。
大分県も同じ型です。介護分野の大分県介護DXサポートセンターを基盤に、生産性向上支援を軸としたサポートセンターを令和8年4月に開設します。特徴的なのは、決める前に管内の事業所へアンケートを取り、ICT機器の導入状況やニーズを確かめたうえで設置を決めている点です。開設初年度の相談件数は年間20件程度を想定し、アドバイザーは理学療法士と作業療法士などが務めるとされています。
この2県から読み取れることが2つあります。ひとつ、新しくできる窓口は、介護の窓口の隣に作られる可能性が高い。ふたつ、県は事業所の声を設置の根拠にしている。大分県は事前アンケートでニーズを裏付けたうえで設置を決めた、と明記しています。県に窓口がないことを嘆くより、県のアンケートが来たときに具体的に書いて返すほうが、開設は早まります。
自分の県に窓口があるかを、30分で確かめる
一覧が公表されていない以上、確認は自分で行うことになります。順番はこうです。
- 県の障害福祉担当課に電話し、障害福祉サービス事業所等サポート事業を実施しているか、生産性向上の相談窓口を県として設けているかを聞く。事業名で聞くと話が早く通ります
- 無ければ、同じ電話で介護の担当課につないでもらい、介護生産性向上総合相談センターが障害福祉サービス事業所の相談を受け付けているかを聞く。長野県のように一体で運営している県があるためです
- それも無ければ、県が今年度どんな事業所支援を委託しているかを聞く。宮城県や東京都のように、窓口の形ではなく募集選定型で伴走支援を用意している自治体があります。この型は募集期間を逃すと1年待ちになります
3つとも空振りでも、聞いた事実は残ります。担当課に問い合わせが積み上がることは、その県が設置を検討する材料になります。電話した日付と、答えてくれた方の部署名をメモに残しておいてください。
この3つの電話で何と答えられたかを教えていただければ、次に当たるべき先を整理してお返しします。
公式LINEで相談する窓口が無い県で、開くまでにやっておく3つ
ここが本題です。窓口ができるのを待つ時間は、そのまま準備の時間にできます。やることは3つで、どれも予算が要りません。
1つめは、業務時間を2週間測ることです。記録を書く時間、申し送りの時間、請求のために同じ数字を別の書類へ書き写している時間。この3つを、日勤帯の職員3名に始めた時刻と終えた時刻をメモしてもらうだけで足ります。この数字は、窓口が開いた日の相談材料になり、処遇改善加算の職場環境等要件のうち現場の課題の見える化にもそのまま使えます。要件の側の詳しい整理は障害福祉の生産性向上要件A〜Gにまとめています。
2つめは、通信環境と既存ソフトの棚卸しです。Wi-Fiが届かない部屋はどこか、使っている記録ソフトの名前と契約の年月はいつか、請求ソフトとの連携はあるか。大分県の窓口が相談として想定しているのが、まさに通信環境の整備と機器導入の相談です。この棚卸しが済んでいない状態で相談に行くと、初回はその確認で終わります。
3つめは、やめる候補を1つ決めておくことです。導入とは何かを1つやめることで、やめるものを決めていない導入は職員の仕事を純増させます。減らしたい様式、二重に書いている記録、続けているが誰も読んでいない書類。1つ挙げておくだけで、相談の焦点が定まります。
この3つが揃っていると、窓口が開いた初回の相談から具体の話に入れます。揃っていないと、初回は現状の聞き取りで終わり、次の予約が1か月先になります。
県に窓口が無くても、国に直接言える先がある
もう1つ、あまり知られていない窓口があります。厚生労働省が設けている事業者要望専用窓口です。障害福祉分野の行政手続きに関する簡素化や利便性の向上について、事業者が要望を直接送れるフォームが用意されています。提出状況も公開されています。
指定申請の様式が県ごとに違って困っている、同じ数字を何枚にも書かされている。そうした具体的な不便は、現場にいる人にしか書けません。時間のあるときに1件だけでも送っておく価値があります。フォームはhttps://www.mhlw.go.jp/form/pub/mhlw01/syogaikansokaです。
また、事業者団体の窓口という道もあります。省力化投資促進プランによると、一般社団法人全国介護事業者連盟が令和6年9月からDXなんでも相談窓口を開設し、加盟事業所を対象に介護と障害福祉のDX相談を受け付けています。令和6年9月から令和7年4月までの支援は22件で、相談の半分はICT機器の比較や加算要件に関する具体的なもの、もう半分はDXの進め方やWi-Fiが安定しないといった漠然とした内容だったとされています。漠然とした相談でよい、という点は覚えておいてよいと思います。
よくある質問
- 障害福祉のワンストップ窓口は、いまいくつの都道府県にあるのですか。
- 厚生労働省が令和7年6月13日に策定した省力化投資促進プラン―障害福祉―では、都道府県ワンストップ窓口設置数のKPIに現状値として4が示されています。注記には厚生労働省において把握しているものとあり、網羅的な調査の結果ではありません。同じプランが自治体の取組例として挙げているのは北海道、宮城県、東京都、長野県の4つです。一方、令和8年3月に公表された事例集では、令和6年10月に開設した静岡県も開設済みとして紹介されているため、実際の数は4より多いとみられます。最新時点の都道府県別の設置一覧は、本記事の作成時点では公表されたものを確認できていません。
- うちの県に窓口がありません。いつできますか。
- 省力化投資促進プランでは、都道府県ワンストップ窓口設置数を2026年に10以上、2029年に47とする目標が示されています。令和11年までに全都道府県への設置を目指す方針です。ただし、いつどの県に開設されるかの個別のスケジュールは公表されていません。開設の判断は都道府県が行うため、時期を知りたい場合は所管の都道府県の障害福祉担当課に直接お尋ねください。
- 相談は有料ですか。事業所の規模や種別の制限はありますか。
- 省力化投資促進プランに記載されている北海道、宮城県、東京都の取組は、いずれも管内の障害福祉サービス事業所が無料で活用できるものとされています。ただし対象の範囲には差があり、北海道は指定都市と中核市以外が対象、宮城県は指定都市を含むと記載されています。支援の回数にも上限が設けられている例があります。利用条件は都道府県ごとに異なるため、必ず御法人の所在地を所管する窓口の案内でご確認ください。
- 介護の相談窓口に、障害福祉の相談をしてもよいのですか。
- 県によっては一体の窓口として運営されています。長野県は長野県介護・障がい福祉生産性向上総合相談センターとして介護と障害福祉を同一の窓口で扱っており、滋賀県と大分県も介護分野の窓口を基盤に障害福祉分野のサポートセンターを令和8年4月に開設する予定です。一方、介護の窓口が介護保険サービスに限って受け付けている県もあります。介護生産性向上総合相談センターは47都道府県すべてに設置されているので、まず御法人の県のセンターに、障害福祉サービス事業所の相談を受け付けているかを電話で確認するのが早道です。
- 窓口ができるまで、事業所側で待っていればよいですか。
- 待っている間にやっておくと効く作業があります。ひとつは業務時間の測定です。記録、申し送り、請求のための転記にかかっている時間を2週間測っておくと、窓口が開いた日に相談の材料になり、処遇改善加算の職場環境等要件のうち現場の課題の見える化にも使えます。もうひとつは、Wi-Fiが届かない場所と、使っている記録ソフトの名前と契約年月を書き出しておくことです。窓口の相談は、この2つが手元にあるかどうかで進み方が変わります。
- 窓口に相談すると、機器を買わされることになりませんか。
- 事例集で紹介されている窓口は、都道府県が社会福祉協議会や関係団体に委託して運営しているもので、専門家として社会保険労務士、中小企業診断士、理学療法士、作業療法士などが関わっています。特定の製品を売る立場ではありません。ただし、窓口が製品を選んでくれるわけでもありません。北海道の事例では、当初は処遇改善加算の相談を想定していたところ、実際には施設運営や労務管理、新規参入の相談まで幅が広がり、専門家の確保が課題になっていると述べられています。何を相談したいかを先に決めて持ち込むほうが、得られるものは大きくなります。
まとめ
国が把握している障害福祉のワンストップ窓口は4つ、介護は47都道府県すべて。目標は2026年に10以上、2029年に47です。開設済みの県では、相談から専門家派遣までが無料で用意されていて、しかもまだ空いています。
今日やることを1つだけ選ぶなら、県の障害福祉担当課への電話です。障害福祉サービス事業所等サポート事業を実施しているか、生産性向上の相談窓口があるか。この2つを聞いて、日付と部署名をメモに残す。無ければ介護の窓口が障害福祉も受けるかを聞く。ここまでで30分です。
そして、窓口の有無にかかわらず、記録と申し送りと転記の時間を2週間測っておいてください。窓口ができた日の相談材料にもなり、処遇改善加算の要件にもなり、補助金の実績報告にも使えます。測っていない事業所は、どの制度が来ても同じ場所で止まります。
出典
- 厚生労働省「省力化投資促進プラン―障害福祉―」(令和7年6月13日)https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/shouryokukatousi/10-2.pdf(都道府県ワンストップ窓口設置数の増加は4(現状)から2026年に10以上、2029年に47、注2は厚生労働省において把握しているもの。ICT活用等により業務量の縮減を行う事業所の増加は32.3パーセントから2026年に50パーセント、2029年に90パーセント以上。自治体によるサポート体制の整備の例として北海道、宮城県、東京都、長野県の4件と、各取組の対象範囲、無料である旨、令和6年度の相談件数および支援事業所数。全国介護事業者連盟のDXなんでも相談窓口の開設時期と支援22件の内訳)
- 厚生労働省 社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課「障害福祉分野における都道府県サポートセンターの設置・運営事例集」(令和8年3月)https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001696650.pdf(令和11年までに全都道府県への設置を目指す方針、サポートセンターの3つの役割、開設済みとして北海道・長野県・静岡県、開設予定として滋賀県・大分県、その他の支援事例として宮城県・東京都、各県の開設時期と体制と支援メニュー、大分県の事前アンケートと初年度相談20件程度の想定、滋賀県の介護分野からの横展開の経緯)
- 厚生労働省「障害福祉分野における都道府県サポートセンター(ワンストップ窓口)」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/seisansei/support_center.html
- 厚生労働省「介護現場の生産性向上の取組・普及支援ナビ 相談窓口一覧」https://www.mhlw.go.jp/kaigoseisansei/pf/soudan/info.html(介護生産性向上総合相談センターが47都道府県すべてに設置されていること)
- 厚生労働省「介護現場の生産性向上の取組・普及支援ナビ 相談窓口とは」https://www.mhlw.go.jp/kaigoseisansei/pf/soudan/(相談は無料で、必要に応じて何回でも受けられること)
- 厚生労働省「障害福祉分野における生産性向上・手続負担軽減」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/seisansei/index.html
- 厚生労働省「事業者要望専用窓口」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/seisansei/madoguchi.html(障害福祉分野の行政手続きに関する簡素化・利便性向上に係る要望の受付フォーム)
- 北海道障がい福祉サポートセンターhttps://www.ttsw.org/
- 東京都福祉局「令和7年度障害福祉人材の確保・定着に向けた事業所等支援事業(生産性向上等への取組支援)」https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/shougai/jigyo/r7seisansei
この記事は2026年9月23日時点で公開されている情報に基づいています。設置数の4は令和7年6月時点で厚生労働省が把握していた数であり、都道府県別の最新の設置一覧は公表されたものを確認できていません。開設時期や支援内容、利用できる事業所の範囲は都道府県ごとに異なり、年度により変わります。実際の利用は必ず所管の都道府県の案内と担当課でご確認ください。最新時点の設置数が一次情報で確認できた場合は、本記事を更新します。
窓口が開く前の半年を、準備に使いませんか
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