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介護・障害福祉の生成AI活用例を業務別に|記録・会議・家族連絡・研修・採用でできること

対象:施設長・事務長・法人本部最終更新:2026-10-23著者:合同会社サン 代表 菅野 竜輔

介護・障害福祉の生成AIは、記録、会議録、家族や関係機関への連絡文、研修資料、採用文書のような、文章の下書きと整理に使えます。利用者の状態の判断と、書類の最終確認には使えません。法人で最初に試すなら、利用者の個人情報を入れずに済む業務を1つに絞り、AIの出力を職員が全文確かめる形から始めます。厚生労働省の公表資料で確かめられる活用の例と、個人情報保護委員会の注意喚起をもとに、業務ごとにAIに任せる所と人が残す所を表にしました。

介護・障害福祉の生成AI活用例を業務別に|記録・会議・家族連絡・研修・採用でできること の要点をまとめた図(合同会社サン 福祉DX お役立ちブログ)
この記事の全体像

任せるのは下書きと整理、人に残すのは判断と最終確認

生成AIを使う5つの業務
介護記録・支援記録メモや書き起こしを記録の文章に整える。状態の判断は職員
会議・議事録議事録の原案と決定事項の抜き出し。内容の確認は職員
家族・関係機関への連絡文文面の下書き。何を伝えるかは職員
研修資料骨子と確認テストの下書き。規程との照合は職員
採用文書募集文と質問案の下書き。合否の判断は職員
最初に試すのは、利用者の個人情報を入れずに済む業務から。記録のように個人情報が中心になる業務は、ルールが回り始めてからにします。

介護・障害福祉の生成AIは、業務ごとに何を任せられるのか

生成AIが得意なのは、材料から文章を組み立てることと、長い文章を短く整理することです。反対に、利用者の状態をどう見立てるか、何を家族に伝え何を伝えないか、誰を採用するかは、職員が決めることです。この線引きで、5つの業務を並べました。

業務AIに任せる所人が残す所個人情報の扱い
介護記録・支援記録職員のメモや音声の書き起こしを記録の文章に整える下書き。長い記録の要約事実の確認。利用者の状態の評価と判断。記録として確定すること氏名などを記号に置き換えるか、法人で契約して学習に使わない扱いを確かめたサービスに限る
会議・議事録録音の書き起こしの整理。議事録の原案。決定事項と宿題の抜き出し決定内容、発言者名、数字の確認。配布してよいかの判断利用者が話題に出る会議は記号化するか、対象から外す
家族・関係機関への連絡文伝える内容を読みやすい文面に直す下書き。言い回しの調整伝える事実と伝えない事実の判断。事故や苦情の連絡の文面。送ること利用者名や状態を入れずに作り、宛名と固有の情報は人があとで入れる
研修資料研修の骨子、確認テスト、掲示物の下書き内容が法令と法人の規程に合っているかの確認。事例の選択実際の出来事を使うときは、個人が特定できない形に直してから
採用文書募集文、面接の質問案、応募者への案内文の下書き労働条件の記載の確認。応募者の評価と合否の判断応募者の履歴書などは入れない。募集文は法人の公開情報だけで作れる

この表は、国の資料で確かめられた活用の例と、当社が個人情報の扱いから整理した線引きを合わせています。研修資料と採用文書については、この記事で確認した範囲の国の資料に、介護・障害福祉の事例としての記載は見つかりませんでした。表の内容は当社の整理です。

各業務の手順は個別の記事にまとめています。記録は介護記録をAIで効率化する具体手順、会議録は福祉施設の会議録・法定委員会の議事録をAIで作る手順、障害福祉の計画書は個別支援計画をAIで書く手順です。

国の公表資料には、どんな活用が載っているのか

厚生労働省の資料で、この記事の時点で確かめられた活用は次の3つです。

3つに共通するのは、AIが出すのは原案や下書きで、担当者が確かめる前提になっていることです。表の人が残す所の列は、この前提に合わせています。

中間とりまとめの書き方

国は効くと見ているが、留意点は検証の途中

効くと見ている点

  • 計画書やサービス担当者会議等の議事録の原案を、生成AIで作る
  • 業務効率化に資する

まだ検証の途中の点

  • AIの信頼性やセキュリティ等の問題がある
  • 実証を通じて、効果と利用における留意点を明らかにする
表の人が残す所の列は、この書き方に合わせています。原案は国も下書きとして扱っています。出典:厚生労働省 2040年に向けたサービス提供体制等のあり方 中間とりまとめ(令和7年4月10日)

時間が減ったと数字で確かめられているものはあるのか

生成AIについては、この記事で確認した国の資料の中に、時間が減ったという数字は見つかりませんでした。数字が載っていたのは、同じAIでも生成AIではない、訪問介護のスケジュール作成ツールの実証です。

省力化投資促進プラン(介護)に載っている令和6年度の実証では、訪問スケジュールの作成と修正に要する時間が、導入前の週27.3時間から導入後の週22.1時間に減っています(5.2時間減)。7日間の自己記入式のタイムスタディによる結果です。職員アンケートの回答者は4人で、小さな事業所での調査です。この資料は、導入の直後は事業所の運用に合わせた調整や職員への説明に時間がかかったことも書いています。

数字が載っていた実証の中身

訪問スケジュール作成のAIで、週5.2時間減った。ただし小さな調査

導入前週27.3時間
導入後週22.1時間
生成AIではない別のAIで、職員アンケートの回答者は4人です。他の事業所の数字を、そのまま御法人の見込みにはできません。出典:厚生労働省 省力化投資促進プラン 介護(令和7年6月13日)

つまり、他の事業所の数字をそのまま御法人の見込みにはできません。効果は、自分の法人で、入れる前と後の時間を測って確かめる必要があります。

入力する情報は、どこまで許されるのか

個人情報保護委員会の「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」(令和5年6月2日)が、事業者に向けて次の2点を示しています。

同じ文書は、生成AIの応答には不正確な内容が含まれることがあるとも注意しています。介護・障害福祉の記録や連絡文では、AIの出力をそのまま使わず、職員が全文を確かめる運用が前提になります。

実務では、入れてよい情報と入れてはいけない情報を、職員が迷わない形で1枚にします。氏名や住所を記号に置き換える方法はAIに入れてよい情報とだめな情報に、法人として決める項目は社会福祉法人がChatGPTに入れてはいけない情報の一覧にまとめています。

法人で最初に試す業務は、どう選べばよいのか

最初の1業務は、次の3つがそろうものから選びます。

選んだら、法人として次の4つを決めます。試す業務を1つ。見る責任者の氏名。入れない情報の一覧。入れる前と後で測る時間と、続けるか止めるかを決める日です。この順番と理事会への出し方は社会福祉法人が生成AIを入れる順番に書いています。

試す業務の分かれ道

利用者の個人情報が入るかどうかで、試す順番が変わる

試したい業務に、利用者の個人情報が入るか
入れずに済む最初の1業務の候補研修資料、掲示物、募集文、会議の資料の整理
記号化すれば入らない記号化のルールを決めてから氏名や住所を置き換える方法を1枚にする
個人情報が中心2つ目以降に回す記録のような業務。ルールと測り方が回り始めてから
選んだら、見る責任者の氏名、入れない情報、前後で測る時間、続けるか止めるかを決める日を決めます。

記録のように利用者の情報が中心になる業務は、2つ目以降に回します。ルールと測り方が回り始めてから広げるほうが、止めるときの傷も小さく済みます。

よくある質問

職員が個人のChatGPTを使って記録を書いてもよいですか。
法人として決めてから使ってください。個人情報保護委員会は、生成AIサービスに個人データを含む入力をして、その内容が応答の出力以外の目的で扱われる場合には、個人情報保護法に違反する可能性があるとしています。入力する前に、サービスの提供事業者がそのデータを機械学習に利用しないことなどを十分に確認するよう求めています。個人のアカウントでは、この確認を法人として行えません。入れてよい情報の線引きは、記号化のルールを1枚にして職員に渡すと運用しやすくなります。
ケアプランは生成AIで作れますか。
厚生労働省の省力化投資促進プラン(介護)は、生成AIを活用したケアプラン作成システムの利用で、ケアプランの作成時間を削減する活用例を載せています。一方、同じ省の中間とりまとめは、AIによるケアプランの作成支援をどのように現場に組み込むかを今後検討する必要があるとしています。使うとしても、内容の確認と責任はケアマネジャーに残ります。
障害福祉の事業所では、どんな使い方が紹介されていますか。
厚生労働省の省力化投資促進プラン(障害福祉)の優良事例に、就労継続支援B型の事業所の取組が載っています。面談や電話、ケース会議の音声から支援記録を生成する、日報や体調などをまとめた月次報告書を生成する、業務マニュアルを読み込ませて簡単な質問に答える支援員役を作る、といった内容です。資料の出所は厚生労働省によるヒアリングと法人提供資料で、削減できた時間などの数字は載っていません。
生成AIの導入は、補助金の対象になりますか。
資料が示しているのは方向までです。省力化投資促進プラン(介護)は、バックオフィス業務の効率化に資するAIを活用したICTソフトを、導入支援の補助対象として明確化する方向を新規施策の方向として挙げています。実際に何が対象になるかは、都道府県の要綱で決まります。申請の前に、御法人の所在地の要綱と担当課で確かめてください。

まとめ

生成AIは、記録、会議録、連絡文、研修資料、採用文書の下書きと整理に使えます。判断と最終確認は人に残します。国の資料は活用の例を示していますが、生成AIで時間が減ったと数字で確かめられたものは、この記事で確認した範囲では見つかりませんでした。だから、効果は自分の法人で測ります。

今週やることを1つ選ぶなら、試す業務を1つ決めて、その業務に今かかっている時間を職員に記録してもらうことです。

出典

この記事は2026年10月23日時点で公開されている情報に基づいています。国の資料や実証の結果は更新されることがあります。実際に導入を決める際は、最新の資料と、御法人の個人情報の取扱いの規程でご確認ください。

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最終更新:2026-10-23

菅
菅野 竜輔(かんの りゅうすけ)/ 合同会社サン 代表社員
介護職、施設長、ケアマネジャー、地域包括支援センター、生活困窮者支援を経験。現在は社会福祉法人と福祉事業者向けに、生成AIの導入と定着の伴走をしています。本記事は厚生労働省の中間とりまとめと省力化投資促進プラン(介護・障害福祉)、個人情報保護委員会の注意喚起を確認のうえ、AIを利用して作成し、人が事実確認と加筆を行っています。記載は2026年10月23日時点の公開情報に基づいています。
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