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三重県の介護テクノロジー補助金と福祉AI導入ガイド
― 36日間で締まる補助金に、来年度どう間に合わせるか ―

エリア:三重県最終更新:2026-08-23(一次情報の確認日)著者:合同会社サン 代表 菅野 竜輔

三重県の令和8年度介護テクノロジー導入支援事業費補助金は、6月1日に募集が始まり7月6日に締め切られました。募集期間はわずか36日。しかも県は7月8日付で「一次募集へ多数の交付申請をいただき、交付申請の総額が予算を大幅に上回っております」と公表し、二次募集は行われず、8月には一部事業者の不採択も通知されています。つまり三重県では、補助金は「あるかどうか」ではなく「募集が開いた瞬間に申請書一式を出せる状態か」の勝負です。この記事では、県の公式ページ・募集案内・交付要領だけを根拠に、補助率4/5・パッケージ型上限1,000万円という制度の中身、予算超過時に誰が優先されるかという三重県独自のルール、そして東紀州の高齢化率44.4%に象徴される県内格差の中でのAI活用を、来年度の募集に間に合う準備の順番として整理しました。

三重県の介護テクノロジー補助金と福祉AI導入ガイド(令和8年度) の要点をまとめた図(合同会社サン 福祉DX お役立ちブログ)

結論:令和8年度 三重県介護テクノロジー導入支援事業費補助金の早見表

まず結論からです。県の公式ページと公表資料をもとに要点を1枚の表にまとめました(出典:三重県「令和8年度三重県介護テクノロジー導入支援事業費補助金」・同 募集案内・留意事項(PDF)・三重県介護テクノロジー導入支援事業費補助金交付要領(PDF)、いずれも2026年8月23日確認)。

項目内容
正式名称令和8年度三重県介護テクノロジー導入支援事業費補助金(令和7年度からの繰越分を含む)
募集期間令和8年6月1日(月)〜7月6日(月)=すでに終了。二次募集なし
受付の性質先着順ではなく、期間内到達分をすべて受付。ただし予算超過時は減額交付・不採択あり(令和8年度は実際に一部不採択が発生)
補助率導入経費の4/5
基準額(機器)見守り・入浴支援のテクノロジー:1機器あたり100万円/それ以外の機器:1機器あたり30万円
基準額(ソフト)介護ソフト:職員数に応じ100万〜250万円(Wi-Fi環境整備等の定着促進費用の活用で最大265万円、ケアプランデータ連携システムで5事業所以上と連携する場合はさらに5万円上乗せ)
基準額(パッケージ型)複数の介護テクノロジーをまとめて導入:1事業所あたり1,000万円(国要綱の400万〜1,000万円の幅の上限を三重県は交付要領で採用)
基準額(業務改善支援)導入支援と一体的に行う業務改善支援(コンサルティング会社等):48万円
対象三重県内の介護保険法に基づく全サービス事業所・施設(訪問介護・居宅介護支援を含む)、養護老人ホーム、軽費老人ホーム
申請方法原則LoGoフォームによるオンライン提出(郵送は事前連絡制)
問い合わせ三重県医療保健部長寿介護課 介護人材確保班(059-224-2262・津市広明町13番地)

県の公式ページは7月8日付で「二次募集は実施されません」、8月6日付で「一部事業者の交付申請を不採択とした」と更新しています。募集開始から締切まで36日、そして開始前の5月22日と6月17日に開かれた研修会への参加(または動画視聴と調査票提出)が申請要件でした。この時間割を知らないまま6月に気づいた事業所は、その時点で今年度の枠を取り損ねています。この記事の残りは、来年度の同時期に同じ思いをしないための準備リストです。

予算超過時の優先ルール ― 三重県は初申請と見守り・インカム・介護ソフトを先に通す

三重県の募集案内には、予算を上回る申請があった場合の優先順位が明文化されています。これは全国どこでも同じではなく、三重県が自分の言葉で書いているルールです(出典:募集案内・留意事項(PDF)6(1))。

  1. 過去に介護テクノロジー導入支援に関する県の補助金の交付を受けたことがない事業所
  2. 業務時間削減効果が高い「見守り機器・インカム・介護ソフト」を令和8年度に導入する予定の事業所

読み替えると、まだ一度も県の導入補助を使ったことのない事業所ほど通りやすく、導入する物が見守り機器・インカム・介護ソフトの3点に該当するほど通りやすい、という設計です。募集案内の冒頭にも、業務時間削減効果が確認されているこの3点を「小規模事業者も含めより広く事業者へ普及させるため集中的に支援する」と目的が書かれています。来年度の申請を考えるなら、欲しい機器のリストをこの優先軸に沿って並べ直しておくと採択の確度が変わります。

もう1つ、三重県が繰り返し注意しているのが事前着手の禁止です。入札等の契約行為は必ず交付決定後で、交付決定前に契約・支払い・導入を行った場合は補助対象外と明記されています。さらに物品購入は300万円、工事は400万円を超えると一般競争入札が必要で、随意契約でも原則2者以上の見積書が求められます。「先に安く買っておいて後から補助を当てる」は三重県では成立しません。

北勢27.0%・東紀州44.4% ― 三重県内の圏域格差を数字で確認

三重県の高齢者福祉の土台となる計画はみえ高齢者元気・かがやきプラン(第9期三重県介護保険事業支援計画及び第10次三重県高齢者福祉計画)で、計画期間は令和6年度から令和8年度までの3年間です。この計画の参考資料1「高齢社会の現状と将来展望」(PDF)から、県の一次データを引きます。

指標数値時点
三重県の高齢化率30.5%(全国29.0%・全国で31番目)令和4年10月1日
令和22(2040)年の高齢化率見込み37.2%(全国34.8%)社人研 令和5年推計
要介護(要支援)認定率18.9%(全国19.0%・全国で25番目)令和5年3月末
第1号被保険者1人あたり年間給付費281.1千円(全国で24番目)令和3年度

県全体では全国並みに見えます。しかし三重県の本当の姿は、桑員・三泗・鈴亀(北勢)、津・伊賀(中勢伊賀)、松阪・伊勢志摩(南勢志摩)、東紀州という4つの老人福祉圏域に分けたときに現れます。同じ参考資料1の圏域別データがこれです。

老人福祉圏域高齢化率(令和4年)要介護認定率(令和5年3月末)1人あたり年間給付費(令和3年度)
北勢(四日市市・桑名市・鈴鹿市など)27.0%15.8%235.7千円
中勢伊賀(津市・伊賀市など)31.7%20.6%297.5千円
南勢志摩(松阪市・伊勢市・鳥羽市・志摩市など)34.6%21.3%322.9千円
東紀州(尾鷲市・熊野市など)44.4%23.2%340.5千円

北勢と東紀州の高齢化率の差は17.4ポイント。同じ県の中に、製造業が集積し現役世代が厚い四日市・桑名と、高齢化率が4割を超えて全国の2040年を先取りしたような尾鷲・熊野が同居しています。認定率も給付費も、南へ行くほど重くなる。つまり三重県の介護テクノロジーは、圏域によって解くべき問題が違います。北勢では採用競争の中で職員の定着(記録・申し送りの負担軽減)、東紀州では絶対的な人手不足の中で夜間見守りと移動の効率化。県が見守り機器・インカム・介護ソフトの3点を優先支援に据えたのは、この両方に効く共通項がその3点だからと読めます。

人材の面では、計画の第5章「計画の目標」(PDF)が、県内の介護職員数を令和4年度の32,584人から令和7年度に33,855人へ増やす目標を掲げています。3年で約1,300人の上積みですが、生産年齢人口が減る中での積み増しであり、県自身が補助金の目的欄に「介護人材の確保は喫緊の課題」「2040年に▲20%以上の業務効率化を図る必要がある」と書いています。人を増やす努力と並行して、1人あたりの業務を軽くする投資が前提になっている県です。

自分の圏域・サービス種別だとどのメニューが現実的か、申請前の整理からお手伝いします。

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三重県の交付要領は、補助事業の区分・基準額・補助率を国の実施要綱(令和8年度介護テクノロジー定着支援事業実施要綱(PDF))に委ねたうえで、パッケージ型の基準額だけは県が独自に定める建て付けです。国要綱は400万〜1,000万円の幅で都道府県が決めるとしており、三重県は交付要領第3条で上限の1,000万円を採用しました。ここは県によって差が出る部分で、三重県は満額側です。

① 介護テクノロジー等の導入支援(見守り・入浴支援は1機器100万円)

国要綱の基準額は、見守りと入浴支援の重点分野に掲載されたテクノロジーが1機器あたり100万円、それ以外の機器が1機器あたり30万円です。介護ソフト・バックオフィスソフトは職員数(常勤換算)で基準額が変わり、10名以下100万円から31名以上250万円まで。介護ソフトの導入と合わせてWi-Fi環境整備等の定着促進費用を活用する場合は最大265万円、ケアプランデータ連携システムで5事業所以上とデータ連携すると基準額に5万円が上乗せされます。申請時には職員数が確認できる勤務形態一覧表の添付が求められます。

② パッケージ型導入支援(三重県は1事業所あたり1,000万円)

見守り機器と介護記録ソフトとインカムのように、複数の介護テクノロジーをまとめて導入する場合のメニューです。夜勤帯の見守りと記録・申し送りを一気に組み替えたい施設は、単品の①よりこちらを軸に設計する方が合理的です。優先採択の対象になる見守り機器・インカム・介護ソフトの3点は、まさにパッケージ型の典型構成でもあります。

③ 導入支援と一体的に行う業務改善支援(48万円)

コンサルティング会社等による業務改善支援の経費が対象です。申請時には、コンサルティング会社からの支援内容が確認できる資料の添付が求められます。業務フローの棚卸しから定着までを外部と一緒に進める費用そのものに4/5の補助が付く設計です。

来年度の募集日に間に合わせる準備の順番

令和8年度の実際の時間割は、5月22日・6月17日に研修会、6月1日に募集開始、7月6日締切、実績報告は令和9年1月31日まででした。この経験則から逆算した、来年度に向けて今から進められる準備がこちらです。

  1. 研修会の受講要件を先に片づける:三重県は「介護テクノロジー導入支援研修会への参加と調査票の回答」を申請要件にしています。研修会はみえ介護生産性向上支援センター(公益財団法人介護労働安定センター)が実施し、令和8年度はYouTubeでの動画視聴でも要件を満たせました。募集開始前に開催されるので、案内が出たら即申し込みます
  2. SECURITY ACTIONを宣言しておく:宣言済みであることが分かる資料の添付が必要です。宣言自体は無料で今日でもできます
  3. 生産性向上委員会を設置する:対象事業所は、利用者の安全・サービスの質・職員の負担軽減を検討する委員会の設置要綱や議事録の提出が求められます。書類は一晩で作れません。今期のうちに委員会を回し始めておくのが確実です
  4. 業務改善計画書の骨子を作る:どの業務の何分を削るか(夜間巡視・記録・申し送り・移乗)を現場と決め、優先採択される見守り機器・インカム・介護ソフトを軸に機器を選定します。TAIS未掲載機器はパンフレット等の添付が必要です
  5. 見積書を2者以上から取る段取りを組む:随意契約でも原則2者以上の見積が必要です。ただし契約・発注は交付決定後。見積収集までで止めます
  6. 募集開始日にLoGoフォームで提出する:先着順ではありませんが、36日の募集期間に書類12種類前後を揃えるのは、ゼロから始めると間に合いません。開始日に出せる状態がゴールです

様式・記入例・県版Q&Aは県の事業ページに揃っています。来年度の要件は変わる可能性があるため、募集開始時に必ず最新の募集案内・交付要領で確認してください。

長寿介護課とみえ介護生産性向上支援センターの窓口

窓口役割連絡先
三重県医療保健部長寿介護課 介護人材確保班補助金の所管・問い合わせ先(申請はLoGoフォーム)059-224-2262/[email protected](津市広明町13番地・本庁4階)
みえ介護生産性向上支援センター(公益財団法人介護労働安定センター)介護テクノロジー導入支援研修会の実施(受講が申請要件)研修会案内ページ

青森県などが県社協にワンストップ窓口を置くのに対し、三重県は県庁の長寿介護課が直接所管し、研修だけを介護労働安定センターの支援センターが担う分担です。申請そのものはLoGoフォームでのオンライン完結が原則なので、紙の郵送を前提にした社内フローしかない法人は、そこも先に整えておく必要があります。

板橋区の特養で実施した進め方を三重県に当てはめる

私たちは三重県内での導入実績はまだありません。書けるのは、東京・板橋区の特別養護老人ホームで実施したAI導入の進め方を、三重県の制度に当てはめるとどうなるか、までです。その前提でお読みください。

板橋区の特養マイライフ徳丸様では、その施設の申し送り様式に合わせたAIの仕組みを作り、職員だけで回せるようにする研修までを一体で行いました(詳細は特養マイライフ徳丸様の導入事例)。このとき効いたのは、機器やAIの選定より先に、どの業務の何分を削るのかを現場の職員と決めたことです。

三重県の制度は、この順番を要件として組み込んでいます。業務改善計画書の提出が必須で、コンサルティング会社等による業務改善支援に48万円の補助枠が別に立っている。さらに三重県特有の事情として、募集期間が36日しかなく予算超過で不採択が出る以上、計画の質と提出の速さが同時に問われます。募集が開く前の平時に業務の棚卸しと計画づくりを終えておく伴走であれば、オンラインでお手伝いできます。優先採択の軸である記録・申し送り(介護ソフト領域)は、まさに私たちが板橋区で実施した領域です。

四日市市・津市・松阪市・伊勢市など市町の事業所の方へ

介護テクノロジーの補助は県の事業として実施されているため、四日市市・桑名市・鈴鹿市・津市・伊賀市・松阪市・伊勢市・鳥羽市・尾鷲市・熊野市など、県内29市町どこの指定事業所でも同じ制度を使えます。一方で、記録や申し送りの回し方、家族連絡のLINE化、放課後等デイサービスの運用といった現場の工夫は市町・法人ごとに事情が異なります。三重県内の市町単位の解説記事は今後追加していく予定です。それまでの間は、テーマ別の記事(介護記録のAI効率化・会議議事録のAI化・福祉施設のLINE活用)を参考にしてください。

隣県の制度と比べたい方は、愛知県の介護テクノロジー補助金ガイド、岐阜県の介護テクノロジー補助金の解説もどうぞ。全国の一覧は全国の福祉DX・補助金ガイドにまとめています。

よくある質問

令和8年度分は今からでも申請できますか?
できません。募集期間は令和8年6月1日から7月6日まででした。県は7月8日付で、一次募集の交付申請総額が予算を大幅に上回ったため二次募集は実施されないと公表し、8月6日付で一部事業者の不採択も通知しています(2026年8月23日に県公式ページを確認)。次の機会に向けた準備を始めるのが現実的です。
補助率4/5とは、実際いくら自己負担になりますか?
導入経費の8割が補助されるため、自己負担は2割です。たとえば見守り機器を基準額いっぱいの100万円分入れるなら自己負担20万円、パッケージ型で1,000万円分なら自己負担200万円が目安です(実支出額と基準額の少ない方に補助率を乗じる方式なので、細部は交付要領と国要綱で確認してください)。
訪問介護や居宅介護支援も対象ですか?
はい。三重県の交付要領は、訪問介護事業所や居宅介護支援事業所を含む介護保険法に基づく全てのサービス事業所・施設と、養護老人ホーム・軽費老人ホームを対象としています。南北に長い三重県では移動時間が重い訪問系こそ、記録のICT化とケアプランデータ連携の効果が出やすい領域です。
研修会に出ていないと申請できませんか?
令和8年度は、みえ介護生産性向上支援センターの介護テクノロジー導入支援研修会への参加(YouTube動画の視聴でも可)と調査票の回答が申請要件の一つとされていました。募集開始前に開催されるため、来年度に申請したい事業所は研修会の案内が出た時点で受講しておくのが安全です。
三重県内に来てもらえますか?
基本はオンラインでの伴走支援です。業務の棚卸し・計画作成・研修はオンラインで完結できる設計にしており、必要に応じて現地訪問もご相談いただけます。

三重県の補助金は、募集が開く前に勝負が決まっています

研修受講・SECURITY ACTION・委員会設置・業務改善計画。来年度の募集開始日に出せる状態づくりを、無料の個別相談で一緒に始めませんか。三重県の御事業所の状況をお聞かせください。

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合同会社サン / 福祉 × AI・DX / 全国オンライン対応(三重県対応)
菅
菅野 竜輔(かんの りゅうすけ)/ 合同会社サン 代表社員
介護実務5年・特養/有料老人ホームの立ち上げ・施設長・ケアマネジャー・地域包括支援センターを経て独立。自社でも福祉の現場を運営し、板橋区内の特別養護老人ホームでのAI導入実績があります。本記事の数値・制度情報はすべて三重県の公式ページ・公表資料(募集案内・交付要領・みえ高齢者元気・かがやきプラン)を2026年8月23日に確認して記載しました。
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