長崎県の補助金は4本立て――まず自分がどれに当たるかを決める
他県の補助金はたいてい1本の中にメニューが並びます。長崎県は違い、令和8年度介護現場デジタル改革推進事業補助金は事業全体の呼び名で、その下に4本が並びます。出典は長崎県「令和8年度介護現場デジタル改革推進事業補助金」(県公式)と同 募集要項PDFで、いずれも2026-08-24に確認しました。
| 補助金の種類 | 補助率 | 補助上限額 | ねらい |
|---|---|---|---|
| (1)介護テクノロジー普及促進補助金 | 5分の4 | 1事業所 400万円 | 機器・介護ソフトの導入経費 |
| (2)介護DX化推進補助金 | 10分の10 | 1事業所 1,000万円 | 先進事例をつくる事業所への全額補助 |
| (3)事業者グループ職場環境改善協働実施推進補助金 | 5分の4 | 1グループ 1,200万円 かつ1法人 120万円 | 小規模法人が組んで共同実施する取組 |
| (4)介護事業者等経営改善支援補助金 | 5分の4 | 1事業者等 35万円 | 経営基盤の強化・経営改善の取組 |
(3)は訪問介護事業所を経営する法人なら1法人あたりの枠が150万円に上がります。訪問系の人手が細っている状況を県が枠の設計に織り込んだ形です。
いちばん大事な注意点は、(1)と(2)は同時採択されないという一文です。同時申請は可能でも同時採択は行わないと募集要項に明記されています。機器導入は400万円の5分の4補助か1,000万円の全額補助か、どちらの土俵で勝負するかを最初に決めます。
介護テクノロジー普及促進補助金――5分の4・400万円・3区分まで
多くの事業所が最初に検討するのが(1)です。対象は介護保険法に基づく全てのサービス事業所で、訪問介護と居宅介護支援を含むことが県公式ページに明記され、養護老人ホーム・軽費老人ホームも対象。上限額は区分ごとです(募集要項で2026-08-24確認)。
| 区分 | 上限額 | 導入の考え方 |
|---|---|---|
| 移乗支援・入浴支援 | 1機器 100万円 | 身体負担の大きい介助から |
| インカム | 1機器 100万円 | 導入台数は職員数が上限 |
| 介護ソフト・バックオフィスソフト | 100万〜250万円 | 職員1〜10人100万、11〜20人150万、21〜30人200万、31人以上250万。価格が職員数で変動しない場合は250万 |
| 移動支援・排泄支援・見守り・機能訓練・食事栄養管理・認知症ケア支援 | 1機器 30万円 | 見守り機器の台数は定員が上限 |
| パッケージ型導入支援(機器等の合計経費) | 400万円 | 機器とソフトを束ねて申請する |
| 業務改善支援(上記と一体的に行う場合) | 48万円 | 外部の支援を計画に組み込む枠 |
ここに長崎県独自の制約があります。1事業所につき3区分までしか申請できません。欲しい機器を全部並べる申請はできない設計で、どの3枠を使うかの取捨選択が最初の意思決定になります。
加算は2つ。介護ソフト定着促進の支援を使う場合は上限額に15万円。居宅サービス事業所や居宅介護支援事業所が令和8年度中にケアプランデータ連携システムで5事業所以上と連携する場合は5万円。金額は小さいものの、買って終わりにせず定着させ、事業所間でデータをつなげよという県の思想が出ています。
もうひとつ効くのが、通信環境整備が主となる機器と一体で対象になる点です。Wi-Fi環境の配線工事、ルーター、ネットワーク構築、利用に伴うPCやタブレットまでが、併せて導入する場合に限り対象。電波が届かないという理由でICTを諦めてきた事業所には突破口です。
補助率10分の10の介護DX化推進補助金は何を求めているか
全国的にも目を引くのが(2)介護DX化推進補助金です。補助率10分の10、1事業所あたり1,000万円(複数事業者での申請は1計画あたり1,000万円)。機器の種類ごとの上限額は無しと募集要項にあり、(1)の刻みも3区分までの制限もかかりません。そのぶん求められるものが重くなります。
- 数値で示した業務改善計画:複数事業所や介護業務全般のテクノロジー化で、身体的負担の軽減、業務時間の削減、質の向上につながり先進事例となることを数値等で示すこと。何を何分減らすか書けない計画はこの枠に乗りません。
- 伴走型支援と事例紹介への同意:採択後はサポートセンターの伴走型支援を受け、県内へ先進事例として紹介されることに同意します。全額補助の見返りが横展開への協力だという構造です。
- これまでに交付を受けていない事業所であること:一度使った事業所は繰り返し使えません。県内の事業所に一巡させる意図の枠だと読めます。
判断軸は法人の規模ではなく計画の描ける範囲です。1事業所の1つの困りごとを機器で解消したいなら(1)。複数事業所をまたいで記録・申し送り・シフト・請求の流れを組み替え、効果を数値で説明できるなら(2)。全額補助という言葉だけで飛びつくと、審査会で計画の粗さが出ます。
(1)で3区分をどう選ぶか、(2)で数値目標をどう置くか。御施設の業務を伺って無料で整理します。
公式LINEで相談する必須要件とサポートセンター――相談・SECURITY ACTION・3年間の効果報告
長崎県の補助要件で印象的なのは、機器の仕様よりも事業所の姿勢を問う条項が多いことです(募集要項および県公式ページより・2026-08-24確認)。
| 要件 | 実務でやること |
|---|---|
| 業務改善計画の作成と、原則としてサポートセンターへの相談 | 相談前に困りごとを1つに絞る。計画書様式はエクセルのまま提出 |
| SECURITY ACTIONの一つ星または二つ星の宣言 | 情報処理推進機構の制度。宣言と社内のセキュリティ対策の整備 |
| 業務改善支援か研修受講のいずれか一つ | コンサルティング会社等による支援か、サポートセンター等の研修 |
| LIFEによる情報収集への協力 | 科学的介護情報システムへのデータ提出体制 |
| 介護サービス情報公表システムへの反映 | 導入した機器の状況を正確に反映 |
| ケアプランデータ連携システムの利用開始(対象サービス) | 令和8年度内に利用開始。同等と認められたシステムを含む |
| 効果報告 | 補助を受けた翌年度から3年間、計画に対する効果を報告 |
見落としやすいのがSECURITY ACTIONの宣言です。情報処理推進機構の制度で、介護現場ではなじみが薄く申請直前に慌てる項目の筆頭。もうひとつ重いのが翌年度から3年間の効果報告で、指標は3年間測り続けられるものに限られます。記録1件あたりの入力時間、夜勤帯の巡回回数、残業時間、申し送り時間。介護記録をAIで効率化する記事の時間の測り方が、そのまま効果報告の土台になります。
相談先のながさき介護現場サポートセンターは、県が麻生教育サービス株式会社に委託して運営する介護生産性向上総合相談センターです。長崎市茂里町3番24号の長崎県総合福祉センター県棟3階、受付は平日9時から17時。相談、機器の試用貸出、展示会、伴走支援、セミナーがいずれも無料です(2026-08-24確認)。
良い例として挙がるのは、夜勤業務の効率化のため見守りシステムを検討しているがどんな機器があるか、といった問い方。悪い例は、要件になっているのでとりあえず電話した、何から手を付けてよいかわからないので全部教えてほしい、です。相談の前にどの業務に何分かかっているかを数え、減らす手段の候補を2つか3つに絞る。ここまで持ち込めば無料の窓口が濃い場になります。県はこのセンターを実施主体とする専門家による伴走支援も募集しており、月1、2回の訪問またはオンライン面談を無料で受けられます。
8つの老人福祉圏域のうち4つが離島――上五島43.7%という現場条件
制度から現場の話へ。長崎県の高齢者施策は8つの老人福祉圏域で動きます。長崎、佐世保県北、県央、県南、五島、上五島、壱岐、対馬。後半の4つが離島で、圏域の半分が離島という県はほかにありません。数字はながさき長寿いきいきプラン 第2章から引いています(令和2年国勢調査・2026-08-24確認)。
| 圏域 | 総人口 | 65歳以上 | 高齢化率 |
|---|---|---|---|
| 全国 | 126,146千人 | 36,027千人 | 28.6% |
| 長崎県(全体) | 1,312,317人 | 433,018人 | 33.0% |
| 長崎 | 505,512人 | 163,097人 | 32.3% |
| 佐世保県北 | 307,771人 | 101,866人 | 33.1% |
| 県央 | 264,638人 | 77,330人 | 29.2% |
| 県南 | 126,764人 | 47,379人 | 37.4% |
| 五島 | 34,391人 | 14,047人 | 40.8% |
| 上五島 | 19,791人 | 8,640人 | 43.7% |
| 壱岐 | 24,948人 | 9,659人 | 38.7% |
| 対馬 | 28,502人 | 11,000人 | 38.6% |
8圏域すべてが全国平均の28.6%を超えます。離島4圏域を合算すると総人口107,632人に対し65歳以上が43,346人、高齢化率は約40.3%(上表から算出)。最も高い上五島は43.7%、85歳以上の割合も9.1%と県内最高です。
この条件が意味するのは、外部の支援者が現地に行くコストの高さです。研修講師を呼ぶにも船か飛行機の便に縛られ、機器のデモを見に本土へ出れば往復で丸1日。サポートセンターが試用貸出を無料で行い、伴走支援にオンライン面談を明記しているのは、この地理を前提にした設計です。
同じ理由で、離島の事業所こそオンライン中心の伴走と相性がよいと考えています。画面共有で記録ソフトを一緒に触り、入力テンプレを直し、翌週にまた30分様子を見る。月に1度しか来られない訪問支援より定着が早く、移動に消える時間を練習時間に振り替えられます。プラン本文には、離島を中心に高齢者のみの世帯が極めて多いことも記されています。上五島は高齢者単独世帯が22.9%、高齢夫婦のみが18.5%、合わせて41.4%。家族が近くにいない前提の圏域では、見守り機器と家族連絡のデジタル化がそのまま安全の話です(LINE公式アカウント活用の記事)。
数字で見る長崎県――人口122万人・高齢化率33.0%・認定率19.7%
県全体の輪郭も一次情報から押さえます。
| 指標 | 数値 | 出典 |
|---|---|---|
| 推計人口(令和8年7月1日現在) | 1,221,550人(557,807世帯) | 長崎県 毎月の推計人口 |
| 主要市の人口(同上) | 長崎市379,419人/佐世保市224,369人/諫早市129,792人/大村市97,420人 | 同上 |
| 人口のピーク | 1960年(昭和35年)の約176万人 | いきいきプラン 第2章 |
| 高齢化率の見通し | 2025年35.6% → 2040年40.9% | 同上 |
| 高齢者1人を支える現役世代 | 2000年3.0人 → 2025年1.5人 → 2040年1.2人 | 同上 |
| 要支援・要介護認定者数(2023年3月末) | 86,334人 | いきいきプラン 本文 |
| 認定率(同上) | 19.7%(全国19.0%) | 同上 |
県人口は1960年の約176万人をピークに減り続け、いまは122万人。65歳以上人口も2025年頃の約44万人でピークを打ち、その後は減少に転じる見込みです。長崎県は、利用者が増え続ける局面ではなく、支える側がそれ以上の速さで減る局面に入っています。現役世代は高齢者1人あたり2000年3.0人、2025年1.5人、2040年1.2人。この落ち方を採用で埋める解法は成立しません。
認定率も特徴的です。県は2013年の22.3%をピークに下がり続け2023年3月末は19.7%。全国平均が上がり続けたのとは逆の動きで、差は0.7ポイントまで縮まりました。認定者数が横ばいから微減に向かうなら、伸ばす主戦場は利用者数ではなく加算の取得と一人あたりの生産性です。実務は個別支援計画のAI活用の記事と介護記録ソフトの比較と選び方が参考になります。
いきいきプランは令和6年度から令和8年度の一体計画で、介護分野におけるDXの項に、地域包括ケアシステムのデジタル化を重点課題の一つに位置付けると書かれています。今年度が最終年度で、第10期の見直しがこれから動きます。
障害福祉の事業所は別枠・別窓口(長崎市と佐世保市は対象外)
長崎県は障害福祉分野の介護テクノロジー導入支援事業を別立てで持っています。担当は長寿社会課ではなく障害福祉課(095-895-2451)。対象は障害児支援事業者・障害児相談支援事業者(ICTのみ)、障害者支援施設、共同生活援助、居宅介護・重度訪問介護、短期入所の各事業者です。
必ず確認してほしいのが、長崎市及び佐世保市が指定する事業所は対象外という条件です(県ページで2026-08-24確認)。県内の障害福祉事業所の相当数がこの2市に集中しているため、影響は小さくありません。該当する場合は指定権者を確認し、市の窓口に同種の制度があるか問い合わせてください。介護保険サービスの側では両市の事業所も県の補助の対象なので、同じ法人でサービス種別ごとに使える制度が違う状況が起きます。
板橋区の特養で実証した進め方を、長崎県の様式に載せる
正直に書きます。当社はまだ長崎県内での導入実績はありません。お伝えできるのは、板橋区内の特別養護老人ホームでAIによる申し送り・記録の改善を実施したことです。検証済みの進め方は、記録業務の現状を分単位で測る、AIとソフトで置き換える箇所を決める、少人数のユニットで試してから広げるの3手順。測定を先にやっておくと申請書の数字が推測ではなく実測になります。
- 測る(申請前):申し送り、日誌、加算書類、家族連絡の4つで、誰が何分使っているかを2週間だけ記録します。この数字が計画書の現状値です。
- 相談する(申請前):測った数字と候補2つか3つを持ってサポートセンターへ。要件を満たすと同時に機器の当たり外れの情報が得られます。
- 絞る(申請時):(1)なら3区分まで、(2)なら数値目標つきの計画。SECURITY ACTIONの宣言と、ケアプランデータ連携システムの対応可否も同時に確認します。
- 試す(内示後):1ユニットだけで先に運用します。事業実施期間は令和9年2月19日までで支払いまで終える必要があり、テスト期間は長く取れません。
- 続ける(翌年度から3年):効果報告が3年間続きます。1で決めた指標を測り続けられる形にしておくことが後年の負担を決めます。
AIの使いはじめは福祉スタッフのためのAI活用ロードマップ 5ステップにまとめました。九州内で複数県に事業所を持つ法人は、制度の設計思想が県ごとに違うので隣県の佐賀県の福祉AI・補助金ガイドと熊本県の福祉AI・補助金ガイドも見比べてください。長崎県の10分の10補助のような枠は、どの県にもあるものではありません。
費用の目安(自社の料金も開示します)
補助対象の機器・ソフトの価格はベンダー見積によりますが、当社の料金は先に開示します。
| メニュー | 内容 | 料金 |
|---|---|---|
| LINE公式アカウント構築・運用代行 | ライト/スタンダード/運用代行 | 初期 0〜10万円 月 9,800〜39,800円 |
| AI伴走(現場版・顧問) | 月2回〜の伴走。業務棚卸しから定着まで | 月 10万円〜 |
| 1Dayワークショップ | 御社の業務で実演+専用プラン納品 | ¥49,800(顧問の初月に全額充当) |
初回相談は無料です。(1)と(2)のどちらで組むかの整理からで構いません。オンライン中心のため、本土4圏域でも離島4圏域でも同条件。県の無料窓口と役割がぶつからないよう、当社は導入後の定着と運用の作り込みを担当します。
よくある質問(長崎県版)
- 令和8年度の長崎県の補助金は、いまからでも申請できますか?
- 事業計画の提出は令和8年7月31日17時で締め切られています(県公式ページで2026-08-24確認)。審査結果は令和8年9月中旬頃までに文書で通知される予定です。事業実施期間は内示後から令和9年2月19日まで、実績報告は事業完了から30日を経過した日か令和9年2月26日の早い日が期限です。
- 介護DX化推進補助金の補助率10分の10は、自己負担ゼロという意味ですか?
- 募集要項に補助率10分の10、1事業所あたり1,000万円と明記されています。対象経費の範囲内という前提はつきますが、収まる限り持ち出しは生じません。そのかわり先進事例となることを数値で示した業務改善計画が必要で、採択後は伴走型支援を受け県内へ事例として紹介されることに同意します。過去に交付を受けた事業所は対象外です。
- ながさき介護現場サポートセンターへの相談は必須ですか?
- 介護テクノロジー普及促進補助金と介護DX化推進補助金では、業務改善計画の作成にあたり原則としてサポートセンターの相談窓口に相談することが要件です。募集要項には良い例と悪い例まで書かれ、要件だからとりあえず電話した、は悪い例と明示されています。
- 長崎県内に来てもらえますか。五島や対馬の事業所でも支援できますか?
- 本社は埼玉県所沢市で、長崎県内はオンライン中心の伴走になります。記録・書類・LINE連絡・AI活用の改善は画面共有で完結する内容が多く、五島・上五島・壱岐・対馬の離島圏域でも本土と同じ条件でお受けしています。板橋区内の特別養護老人ホームで実施した進め方を再現します。現地対応が必要な場合は日程を調整してうかがいます。
長崎県の次の募集までに、出せる計画をつくりませんか
4本立ての補助金は、どれを狙うかを最初に決めた事業所から差がつきます。御施設の業務をお聞きし、次の募集までにやることを無料で整理してお返しします。
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