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栃木県の介護テクノロジー補助金と福祉AI導入ガイド
― 補助率5分の4の使いこなしと、交付決定後・来年度の動き方 ―

エリア:栃木県最終更新:2026-08-23著者:合同会社サン 代表 菅野 竜輔

先に締切の話をします。令和8年度栃木県介護テクノロジー定着支援事業費補助金の受付は令和8(2026)年6月5日から8月10日まで。この記事を公開した8月下旬の時点で受付はすでに終わっており、交付決定は9月中の予定です。つまり栃木県の事業所がいま考えるべきは、申請の書き方ではなく、採択後の導入・実績報告をどう乗り切るかと、来年度に向けて要件(セミナー視聴・SECURITY ACTION・ケアプランデータ連携)をいつ整えるかの2つです。栃木県は高齢化率30.9%(令和7年10月1日現在、県毎月人口調査)。同じ県内でも宇都宮市27.0%と茂木町47.7%が同居しており、補助金の使いどころは地域でまったく違います。県の公式ページを一次ソースに、数字と要件だけを整理しました。

栃木県の介護テクノロジー補助金と福祉AI導入ガイド の要点をまとめた図(合同会社サン 福祉DX お役立ちブログ)

令和8年度栃木県介護テクノロジー定着支援事業費補助金の全体像

栃木県の介護ロボット・ICT導入の補助は、令和8年度は「栃木県介護テクノロジー定着支援事業費補助金」として実施されました(所管:栃木県保健福祉部高齢対策課)。旧称の「介護ロボット導入支援」「ICT導入支援」で探している方も、現在はこの名称に一本化されています。要点を県の実施要領から抜き出すと次のとおりです。

項目令和8年度の内容(栃木県実施要領より)
補助率対象経費の5分の4
機器の基準額移乗支援(装着型・非装着型)・入浴支援・インカム等:1台あたり100万円/それ以外の機器:1台あたり30万円
パッケージ型導入支援複数機器の組み合わせ導入(例:介護記録ソフト+インカム)で合計経費1,000万円まで
介護ソフト職員規模の区分に応じ基準額100万〜250万円(付帯経費を追加する場合は115万〜265万円)。ケアプランデータ連携システムで5事業所以上と連携する場合は5万円加算
業務改善支援コンサルティング会社等による業務改善支援:1事業所につき基準額48万円(導入支援と一体的に実施)
受付期間令和8(2026)年6月5日〜8月10日(終了)/交付決定は9月中の予定

正確な条文・様式は必ず県の公式ページで確認してください:栃木県「令和8年度栃木県介護テクノロジー定着支援事業」(交付要領・実施要領・補助額計算書・Q&Aを掲載。参照日2026-08-23)。

この表の金額は「基準額」です。実支出額に5分の4を掛けた額と基準額を比べ、少ない方が補助額になります。見積書ベースで自分の事業所の補助額を試算したい方は、下の窓口章で紹介する介サポとちぎの「補助基準額簡易チャート」が便利です。

栃木県ならではの申請要件4つ(セミナー・データ連携・SECURITY ACTION・インカム)

栃木県の補助金は、国の介護テクノロジー導入支援の枠組みに県独自の運用が乗っています。他県の解説記事を読んで準備すると、この4点でつまずきます。

  1. 県セミナーの視聴が申請条件。令和8年度は6月12日に「介護テクノロジー活用支援事業セミナー」がウェブ開催され、視聴したことを申請フォームで確認する仕組みでした。アーカイブ動画も県ページに公開されています。来年度も同様の建て付けになる可能性が高いので、募集開始時期(今年は5月29日にページ開設)を見逃さないことが第一歩です。
  2. 居宅系サービスはケアプランデータ連携の実績が要件。県のQ&Aに、厚労省確認の結果として「令和8年度中にケアプランデータ連携システムによるデータ連携の実績があること」が居宅系の要件と明記されました。ケアプランの送受信を実際に行っている(または令和9年3月31日までに予定している)ことが必要です。
  3. SECURITY ACTION(IPAの情報セキュリティ自己宣言)が申請要件。介サポとちぎに特設ページが用意されるほど、県はこの要件を重視しています。宣言自体は無料ですが、社内のセキュリティ方針を文書化する作業が要るため、申請直前ではなく先に済ませておくべき項目です。
  4. インカムは「子機の台数」ではなく「システム一式」で数える。令和8年度から、インカムは付帯経費込みで申請できるようになった一方、補助額計算書では台数を1と入力する県ルールです。台数×基準額で膨らませる計算はできません。

もうひとつ、令和8年度からの改善点として、同一施設内でも別の介護サービスとして指定を受けていれば、事業所番号が同じでもサービスごとに申請できるようになりました。特養に併設のショートステイやデイがある法人は、申請単位の設計で補助額が変わります。

栃木県の年度スケジュールと、いまからの動き方

令和8年度の栃木県の実際の流れを時系列にすると、5月29日に県ページ開設、6月5日受付開始、6月12日セミナー開催、7月8日に申請フォームとQ&A公開、8月10日受付終了、9月中に交付決定、という速いテンポでした。募集期間は実質2か月強。機器選定と見積取得を4〜5月に終えていた事業所でないと間に合わない日程です。

この時系列を前提に、いまの立場別の動き方を整理します。

いまの状態これからやること
申請済み・交付決定待ち9月中の交付決定後に発注・導入。実績報告では業務改善計画書の提出が必要(様式は7月17日に県ページで公開済み)。導入した機器を使った業務フローの変更まで書き切る準備を今から。
今年度は申請しなかった来年度募集に向けて、SECURITY ACTIONの宣言、(居宅系なら)ケアプランデータ連携の開始、導入したい機器の絞り込みと見積先の確保を年度内に。募集が始まってからでは間に合わない項目ばかりです。
補助金を使うか迷っている月数千円で始められる記録AIやLINEの仕組み化は補助と関係なく今日から動かせます(後述)。まず小さく試し、効果が見えた機器・ソフトを来年度の補助で本格導入する二段構えが堅実です。

業務改善支援も補助対象 ― 基準額48万円の使い方

見落とされがちですが、栃木県の実施要領には「導入支援と一体的に行う業務改善支援」という区分があり、コンサルティング会社等による業務改善支援が1事業所につき基準額48万円・補助率5分の4で対象になります。機器を買うお金だけでなく、機器を現場に定着させるための外部支援にも補助が付くということです。

実際、介護ロボットやICTの導入が失敗する典型は、機器は届いたのに運用が変わらないケースです。誰がいつ記録を入れるか、申し送りをインカムでどう置き換えるか、夜勤帯の見守り機器のアラート対応を誰が担うか。ここを設計してはじめて、実績報告で求められる業務改善計画書にも書ける中身ができます。合同会社サンは、この「導入と一体の業務改善」を伴走する立場でお手伝いしています。栃木県の様式・要件に沿った形での支援をご希望の方は、ページ下部の無料相談からどうぞ。

数字で見る栃木県 ― 宇都宮27.0%と茂木町47.7%の差

栃木県毎月人口調査(年齢別人口調査結果、令和7(2025)年10月1日現在)によると、県の総人口は1,868,706人、65歳以上人口は566,522人で高齢化率は30.9%。85歳以上だけで94,382人います。注目すべきは市部と郡部の差で、市部計30.4%に対し郡部計は34.9%。市町別に並べると、県内の景色が二つに割れているのが分かります。

高齢化率が低い市町(令和7年10月1日現在)高齢化率が高い市町(同)
上三川町 26.7%茂木町 47.7%
小山市 26.9%那珂川町 45.0%
宇都宮市 27.0%那須町 44.6%/塩谷町 44.6%
さくら市 27.6%那須烏山市 41.5%
高根沢町 27.7%日光市 38.3%

出典:栃木県統計課「年齢別人口調査結果」(令和7年10月1日現在の結果表より当社集計。参照日2026-08-23)。

この差は、そのまま事業所の課題の差です。宇都宮市・小山市・上三川町など県央から県南の平野部は人口が集まり事業所も多く、選ばれるための発信力と、採用競争を勝ち抜く職場環境(記録の負担が軽い職場か)が問われます。一方、茂木町・那珂川町・那須烏山市など県東の八溝山地側や、那須町・塩谷町・日光市の県北中山間部は、高齢化率が40%前後に達し、少ない職員で広い訪問エリアをカバーする働き方が常態です。移動時間が長い地域ほど、音声入力による記録の隙間時間化や、インカム・LINEでの連絡の一本化が効きます。足利市(34.2%)・佐野市(32.5%)の両毛地域は群馬県側と生活圏が続いており、採用も利用者募集も県境をまたいで考える必要があります。

はつらつプラン21(九期計画)と障害福祉の計画

栃木県の高齢者施策の土台は、栃木県高齢者支援計画「はつらつプラン21(九期計画)」(計画期間:令和6(2024)年度〜令和8(2026)年度)です。計画は2025年に団塊の世代全員が75歳以上となり、2040年に向けて85歳以上人口が急速に増えるという見通しを前提に組まれています。前段の統計で見たとおり、県内の85歳以上はすでに9.4万人。介護テクノロジーの補助が「人材確保」の文脈(所管も高齢対策課の介護人材担当)で実施されているのは、この計画の問題意識の反映です。原文は栃木県「高齢者支援計画はつらつプラン21」で公開されています。

障害福祉分野では、栃木県障害者計画「とちぎ障害者プラン21(2024〜2028)」と、栃木県障害福祉計画(第7期計画)・栃木県障害児福祉計画(第3期計画)が走っています。障害福祉サービスや放課後等デイサービス・児童発達支援の事業所は、個別支援計画や記録の書類負担が介護分野と同じかそれ以上に重い領域です。書類作成のAI活用は個別支援計画書のAI活用の記事で具体的な手順を解説しています。

栃木県の相談窓口(高齢対策課・介サポとちぎ)

栃木県内で補助金・介護人材について公式に相談できる窓口は次の2つです。持ち帰り用にどうぞ。

窓口役割連絡先・URL
栃木県保健福祉部 高齢対策課 介護人材担当介護テクノロジー定着支援事業費補助金の所管。交付要領・様式・Q&Aの照会先電話 028-623-3057
介護のしごとサポートセンターとちぎ(介サポとちぎ)補助事業の解説動画・補助基準額簡易チャート・SECURITY ACTION特設ページを公開。申請前の実務情報はここが早いkaisapo.normalization.jp

補助を待たずに始められること

受付が終わった今の時期こそ伝えたいのは、補助金がなくても始められる改善が現場にはたくさんあるということです。生成AIによる記録・文書の下書きは月数千円程度、LINE公式アカウントでの家族連絡・見学予約の仕組み化も小さく始められます。来年度の補助で機器やソフトを本格導入する前に、AIとの付き合い方を職員2〜3名で試しておくと、導入後の定着が段違いに速くなります。始め方の全体像は福祉スタッフのためのAI活用ロードマップ 5ステップに、記録業務の具体的な手順は介護記録をAIで効率化する手順の記事にまとめています。

安全面の原則は3つだけ。利用者の氏名や事業所名は記号化してから入力する、AIの出力は必ず下書きとして人が確認する、無料の個人向けアカウントを業務に使わない。この3つを守れば、個人情報を扱う福祉現場でも安全にAIを使えます。なお栃木県の補助要件になっているSECURITY ACTIONの宣言は、この運用ルールを文書化する良い機会でもあります。

板橋区の特養での実証を栃木県の要件に当てはめると

合同会社サンは、東京都板橋区内の特別養護老人ホームでAIによる申し送り・記録の効率化を導入した実績があります(栃木県内での導入実績はまだありません。その前提で読んでください)。この経験を栃木県のスキームに当てはめると、相性が良いのは次の2点です。

導入の実際の数字や現場の反応はマイライフ徳丸様での導入事例で公開しています。家族連絡・地域への発信をLINEで仕組み化する方法は福祉施設のLINE活用の記事をどうぞ。また、隣県の制度と比べたい方には茨城県の介護テクノロジー導入支援の解説と群馬県の介護テクノロジー定着支援の解説があります。両毛地域の事業所は群馬側の制度も併せて確認すると視野が広がります。

費用の目安(自社の料金も開示します)

補助に頼らない場合の実費感も正直に書いておきます。生成AIの業務利用は1アカウント月3,000〜1万円弱、記録ソフトは規模により月数千円〜数万円、LINE公式アカウントは無料プランから始められます。当社の伴走支援は、初回相談無料、スポット相談やAI導入の伴走は内容に応じて個別見積り、LINE公式アカウントの構築・運用は初期0〜10万円・月9,800〜39,800円が目安です。栃木県の補助金の要件充足(業務改善計画書の作成支援など)を含むご相談も同じ窓口で承ります。

よくある質問

Q. 令和8年度の栃木県介護テクノロジー定着支援事業費補助金は、まだ申請できますか?
A. 受付期間は令和8年6月5日〜8月10日で、すでに終了しています。交付決定は9月中の予定です。採択された事業所は導入と実績報告(業務改善計画書を含む)の準備を、未申請の事業所は来年度に向けた要件整備(セミナー視聴・SECURITY ACTION・ケアプランデータ連携)を進めるのが現実的です。

Q. 居宅系サービスに特別な要件があると聞きました。
A. 県のQ&Aで、居宅系は令和8年度中にケアプランデータ連携システムによるデータ連携の実績(または令和9年3月31日までの実施予定)が要件と明記されています。連携先の事業所との調整に時間がかかるため、早めの着手をおすすめします。

Q. 茂木町や那珂川町のような小規模な町の事業所でも支援を受けられますか?
A. 県内の対象介護サービス事業所であれば町村部でも申請できます。補助を使わない場合でも、記録AIやLINEの仕組み化は月数千円から始められます。高齢化率が40%を超える県東・県北の町こそ、少ない職員で回す仕組みの効果が大きい地域です。

Q. 合同会社サンは栃木県の事業所にも対応できますか?
A. はい。オンライン中心の伴走なので栃木県全域に対応します。板橋区内の特養での導入実績をもとに、栃木県の要件に当てはめてご支援します。初回相談は無料です。

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菅
菅野 竜輔(かんの りゅうすけ)/ 合同会社サン 代表社員
介護実務5年、特養・有料老人ホームの立ち上げ、施設長、ケアマネジャー、地域包括支援センターを経て独立。自社でも福祉施設を運営しながら、AI・DX・LINEで記録/書類/連絡/集客の負担を軽くする伴走支援を行っています。板橋区内の特別養護老人ホームでの導入実績あり。栃木県の事業所にはオンライン中心で対応します。
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