富山県は補助が2本立て――定着支援5分の4と通所・訪問系10分の9
令和8年度の富山県は、介護現場のテクノロジー導入に対して2つの補助を並走させています(富山県「令和8年度富山県介護テクノロジー定着支援事業及び通所・訪問系介護サービス生産性向上支援事業」・2026年8月23日参照)。
- 富山県介護テクノロジー定着支援事業(補助率5分の4)。福祉用具情報システムTAISに掲載された介護テクノロジーの導入費、介護ソフトと一体で使うタブレット・Wi-Fi環境整備費、複数機器をまとめて入れるパッケージ型導入支援が対象。介護保険の指定事業所・施設に加え、養護老人ホーム・軽費老人ホームも対象に含まれます。
- 富山県通所・訪問系介護サービス生産性向上支援事業(補助率10分の9)。訪問介護・通所介護・訪問看護・小規模多機能・居宅介護支援など17種の在宅系サービスが対象で、介護ソフトの導入・改修・連携費用と、一体で使うインカム・タブレット・Wi-Fi整備費に充てられます。国の重点支援地方交付金を活用した県のメニューで、事業所と利用者宅の間の移動削減・送迎業務の最適化による燃料費の抑制につながることが原則とされています。
10分の9という補助率は、自己負担が1割で済むということです。訪問系・通所系の小さな事業所が記録ソフトやインカムを入れる場面では、実質的なハードルはお金ではなく、何をどう選んで現場に定着させるかに移ります。なお申請も実績報告も電子フォームからの提出で、県は来所・電話での問い合わせを受けず、問い合わせフォームに一本化しています。書類仕事のやり方自体がすでにデジタル前提です。
補助上限額の一覧(令和8年度・富山県公式ページより)
金額の枠組みは細かく刻まれています。県公式ページの補助基準額を、判断に使いやすい形で抜き出しました。
| メニュー | 対象 | 上限額 |
|---|---|---|
| 定着支援事業(5分の4) | 介護ロボット等(移乗・入浴)1台 | 100万円(1事業所200万円) |
| 見守り機器を導入する場合の1事業所枠 | 1,000万円 | |
| 介護ソフト・バックオフィスソフト(職員数連動型) | 常勤換算1〜10名100万円〜31名以上250万円(1事業所500万円) | |
| パッケージ型導入支援 | 1,000万円 | |
| 定着支援事業の法人合計 | ― | 1,700万円 |
| 通所・訪問系生産性向上支援事業(10分の9) | 介護ソフト等+インカム・タブレット等 | 1事業所250万円・法人上限なし |
出典:富山県公式ページの補助基準額表(2026年8月23日参照)。ケアプランデータ連携システムで5事業所以上と連携する場合は5万円、介護ソフト導入と合わせてタブレット等の費用を対象にする場合は15万円の上乗せがあります。担当は富山県厚生部高齢福祉課介護保険係です。
採択順位1位は、とやま介護テクノロジー普及・推進センターの伴走支援
富山県のこの補助金でいちばん見落とされやすいのが、予算超過時の採択優先順位が最初から公表されている点です。順位はこうなっています。
- 令和8年度にとやま介護テクノロジー普及・推進センターの伴走支援を受ける事業所
- 過去の県補助金(令和3〜5年度のロボット・ICT補助、令和6〜7年度の定着支援事業など)の交付実績がない事業所
- 見守り機器・インカム・介護ソフトのいずれかを導入する事業所のうち、過去の累計交付額が小さい順
- それ以外の機器を導入する事業所のうち、累計交付額が小さい順
ここから読めることは2つあります。第一に、書類の出来ではなく伴走支援を受けているかどうかで順位が決まるということ。県は機器を配りたいのではなく、現場に定着させたいのです。第二に、初めて申請する事業所が優遇されるということ。これまで補助と縁がなかった小規模事業所こそ、次の募集の本命です。とやま介護テクノロジー普及・推進センター(公式サイト)は富山市の富山県総合福祉会館(サンシップとやま)2階にあり、機器導入や生産性向上の相談窓口を担っています。次の募集で採択されたいなら、まずこのセンターとの接点づくりが最初の一手になります。
朝日町47.8%から舟橋村19.9%まで――富山県内15市町村のデータ
富山県の人口移動調査(令和7年10月1日現在)によると、県の総人口は986,224人、65歳以上人口は324,664人です(富山県「人口移動調査」・2026年8月23日参照)。この2つの公表値から計算すると、総人口に占める65歳以上の割合は32.9%。全国平均を上回る水準です。そして県人口の40.7%が富山市に集中しており、残りを14市町村で分け合う一極集中の構図があります。市町村別に同じ調査の年齢別人口から割合を出すと、開きは鮮明です。
| 区分 | 市町村 | 65歳以上人口の割合 |
|---|---|---|
| 高い側 | 朝日町(県東端・新潟県境) | 47.8% |
| 氷見市(能登半島の付け根) | 42.0% | |
| 南砺市(県西南部・五箇山を含む) | 41.3% | |
| 低い側 | 舟橋村(全国で最も面積の小さい村) | 19.9% |
| 富山市(県人口の40.7%が集中) | 30.2% | |
| 滑川市 | 30.5% |
出典:富山県人口移動調査 第1表・第4表(令和7年10月1日現在)。割合は各市町村の総人口と65歳以上人口の公表値から当社が算出した抜粋です。
富山市への集中と、県境の町の47.8%は同じ県の話
富山市とその通勤圏(射水市・滑川市など)は事業所も人材も比較的集まりますが、朝日町・入善町の新川エリア東部や、氷見市、五箇山の山あいを抱える南砺市では、住民の2人に1人近くが65歳以上という地域を、限られた職員で面として支えることになります。しかも富山は平野部でも雪が積もる県です。冬場の訪問・送迎は移動時間も燃料費もかさみ、事業所に戻ってから記録を書く時間が一日の最後に重くのしかかる。県が通所・訪問系の補助メニューの趣旨に移動削減・送迎最適化による燃料費抑制を明記したのは、まさにこの構造への答えです。移動中に音声で記録の下書きを済ませ、戻ってからの転記をなくす使い方は、富山の在宅系事業所と最も相性が良い投資です。
4つの高齢者保健福祉圏域と広域組合――富山県の保険者のかたち
富山県の高齢者施策の土台は富山県高齢者保健福祉計画・第9期富山県介護保険事業支援計画(計画期間:令和6〜8年度)です(富山県公式ページ・2026年8月23日参照)。計画は県内を新川・富山・高岡・砺波の4圏域に分けていますが、注目すべきは保険者の顔ぶれです。黒部市・入善町・朝日町は新川地域介護保険・ケーブルテレビ事業組合、舟橋村・上市町・立山町は中新川広域行政事務組合、砺波市・小矢部市・南砺市は砺波地方介護保険組合と、単独市町村ではなく広域組合が介護保険を運営する地域が県の東西に広がっています。介護保険とケーブルテレビ事業を同じ組合が担う新川の形は、全国でも珍しい富山らしさです。
事業者にとっての実務的な意味は、指定・報酬・地域密着型の手続き窓口が自分の市町村役場ではなく組合になるケースがあるということ。ICT導入の相談や補助の照会でも、県(高齢福祉課)・組合・センターのどこに何を聞くかを最初に仕分けしておくと、やり取りの往復が減ります。計画自体は、とやま型地域共生社会の実現を掲げ、施策の柱のひとつに介護現場の生産性の向上を明記しています。テクノロジー導入は県計画の本流に乗った取り組みであり、現場が遠慮する理由はありません。
8月19日で受付終了――次の募集から逆算した準備の時系列
令和8年度の交付申請期間は7月1日から8月19日まで、実績報告の期限は事業完了日から令和9年1月29日まででした。募集期間は実質7週間。この短さは来年度も大きくは変わらないと見て、逆算で仕込むのが現実的です(時期はあくまで令和8年度実績からの推測です。確定は県の発表を待ってください)。
- いま〜秋:とやま介護テクノロジー普及・推進センターに相談。採択順位1位の条件である伴走支援の入口をつくる。生産性向上や機器選定の相談はセンターのフォームから
- 年内:業務の棚卸し。記録・申し送り・送迎・請求のどこに何分かかっているかを実測する。10分の9の補助でも、削る対象が曖昧なままでは投資は定着しない
- 冬:導入したい介護ソフト・インカム・見守り機器の候補を小さく試す。月数千円のツールで効果を確かめ、良かったものを補助対象の本導入に載せる
- 年度替わり:見積・導入計画・比較資料を整える。申請の手引きが求める書類は毎年似た構成なので、令和8年度版を先に読んでおくと速い
- 募集開始(令和8年度実績では7月1日)と同時に電子フォームで申請。7週間の公募期間に慌てない状態で迎える
もうひとつ。過去に県のロボット・ICT補助を受けたことがない事業所は採択順位2位に入ります。うちは小さいから補助なんてと思っていた事業所ほど、制度上は前に並べる設計です。
富山県の御事業所の業務棚卸しと、センター相談から申請までの段取りを無料で一緒に整理します。
▶ LINEで無料相談板橋区の特養で実証した進め方を、富山県の制度で生かす
先にはっきり書きます。当社に富山県内の導入実績はまだありません。あるのは、東京都板橋区の特別養護老人ホームで、その施設の申し送り様式に合わせたオーダーメイドのAI申し送りと、職員がそのまま使えるAI研修を導入した実績です(詳細は特養マイライフ徳丸様の導入事例)。
板橋で効いたのは高価な機器ではなく、いまある記録様式をAIが下書きする仕組みと、職員が怖がらずに使えるようになるまでの研修でした。これを富山県に持ち込むなら、道筋は2本あります。施設系なら定着支援事業のパッケージ型(上限1,000万円)で見守り機器や介護ソフトと定着支援をまとめて設計する形。通所・訪問系なら10分の9のメニューで介護ソフトとインカム・タブレットを揃え、移動と送迎の合間に記録が終わる運用まで作り込む形。どちらの場合も、県の採択順位が伴走支援を最上位に置いている以上、機器選びより先に運用設計から入る当社の進め方は制度の思想とかみ合います。伴走はオンライン中心なので、魚津でも砺波でも氷見でも同じ品質で進められます。
最初の一歩の考え方は柱記事の福祉スタッフのためのAI活用ロードマップ 5ステップに、記録の具体的な手順は介護記録をAIで効率化する具体手順にまとめています。障害福祉分野の事業所なら個別支援計画のAI活用も併せてどうぞ。
個人情報の扱いは記号化・下書き・人の最終判断
利用者名や事業所名は入力前に記号へ置き換える。AIの出力は必ず職員が直す前提の下書きとして扱う。判断の最終責任は人が持つ。この3点を運用に組み込めば、福祉現場でもAIは安全に使えます。当社が自社運営の施設で実際に守っているルールを、そのままお渡しします。
費用の目安(当社の料金も開示)
| 領域 | 始め方 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| 記録AI・音声入力の試行 | 汎用AI・既存ツールで小さく開始 | 月 数千円〜 |
| LINE公式アカウント構築・運用 | 家族連絡・見学予約の自動化 | 初期 0〜10万円/月 9,800〜39,800円 |
| AI伴走(顧問) | 業務棚卸し・機器選定・定着研修まで月2回〜の伴走 | 月 10万円〜 |
初回相談は無料です。富山県の補助の対象になり得る部分と、自前で持つべき部分を分けてお見積りします。LINEの活用範囲は福祉施設のLINE公式アカウント活用と費用のめやすをご覧ください。
よくある質問(富山県版)
- 令和8年度の富山県の補助は、今からでも申請できますか?
- 交付申請期間は令和8年7月1日〜8月19日で、すでに終了しています。ただし採択順位1位の条件であるセンターの伴走支援や業務棚卸しは、募集を待たずに始められます。逆算の時系列を参考にしてください。
- 通所・訪問系の10分の9の補助は、何に使えますか?
- 介護ソフトの導入・改修・連携費用と、一体で使うインカム・タブレット・Wi-Fi整備費です(通信費は対象外)。上限は1事業所250万円で法人上限なし。訪問介護・通所介護・訪問看護・小規模多機能・居宅介護支援など17種の在宅系サービスが対象です。
- 朝日町や南砺市など富山市から離れた事業所でも対応できますか?
- はい。伴走はオンライン中心なので、新川・砺波の各圏域でも同じ形で進められます。冬の移動負担が大きい在宅系ほど、移動中に記録の下書きを済ませる運用の効果が出ます。
- 富山県での導入実績はありますか?
- まだありません。実績は東京都板橋区内の特養でのAI申し送り導入です。その進め方を富山県の2本立ての制度と御事業所の実情に当てはめてご提案します。
次の募集で採択順位の先頭に並ぶ準備を、いまから
センター相談の段取りから業務棚卸し、機器選定、定着研修まで、最初の道筋を無料で整理してお返しします。
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