使えるもの、使えないものの早見表
デジタル化・AI導入補助金2026は、昨年までのIT導入補助金の後継です。窓口は中小企業デジタル化・AI導入支援事業事務局で、都道府県が行っている介護テクノロジー導入支援事業とは別の制度です。記録ソフトや請求ソフトを入れたい福祉の事業所が見るのは、主に通常枠です。
9月29日17時が締切の5次締切分について、福祉の事業所から出やすい質問を、公募要領と事務局サイトの記載で仕分けると次のようになります。
| 聞かれること | 通常枠での扱い | 根拠 |
|---|---|---|
| 社会福祉法人、医療法人は出せるか | 常時使用する従業員が300人以下なら対象 | 公募要領 2-1-1 |
| 株式会社や合同会社の介護事業所、NPO法人は | 主たる業種ごとの基準(会社は資本金か従業員数、NPOは従業員数)で判断 | 公募要領 2-1-1 |
| 介護記録、ケアプラン、サービス計画書のソフト | 介護業の業種固有プロセスとして一覧に記載あり。登録されたITツールであることが前提 | 公募要領 別紙2 |
| 見守りセンサー、タブレット、パソコンの本体 | 通常枠ではハードウェアは対象外 | 事務局 通常枠ページ |
| リース、レンタル、中古 | 対象外 | 公募要領 2-2(4) |
| 生成AIやチャットボットだけ | 汎用プロセスのみのツールは単独では申請できない | 公募要領 2-2 |
| 申請書類の作成代行費 | 対象外 | 公募要領 2-2(4) |
| 補助額と補助率 | 1プロセス以上で5万円以上150万円未満、4プロセス以上で150万円以上450万円以下。補助率は原則2分の1以内 | 事務局 通常枠ページ |
補助率には、令和6年10月から令和7年9月までの間で3か月以上、令和7年度改定の地域別最低賃金未満で雇用している従業員が全従業員の30%以上である場合に3分の2以内になる扱いもあります。以下、3つの分かれ目を順に見ます。
分かれ目1|法人の種類と、法人全体の人数
公募要領は、補助の対象になる中小企業等を法人の種類ごとに定めています。福祉の事業者に関係するのは次の3つです。
- 医療法人と社会福祉法人は、常時使用する従業員の数が300人以下であること
- 株式会社、合同会社などの会社は、主たる業種ごとに決められた資本金の額か、常時使用する従業員の数の基準を満たすこと
- 特定非営利活動法人、一般社団法人、公益社団法人などは、主たる業種に記載された従業員規模以下であること
ここで間違えやすいのが、数える単位です。数えるのは事業所ではなく法人全体です。特別養護老人ホームを1か所の感覚で数えると、法人本部やほかの事業所の職員が抜けます。
もう1つは、常時使用する従業員の意味です。公募要領では、労働基準法第20条に定める、あらかじめ解雇の予告を必要とする人とされていて、会社の役員は含みません。パートの職員を含めるかどうかも、この定義に照らして判断することになります。300人前後の法人は、法人本部の名簿で数え直してから進んでください。
会社形態の事業所で、介護や障害福祉の事業がどの業種区分に当たるかは、公募要領の表だけでは読み切れません。区分によって資本金と従業員数の基準が変わるので、ここは推測で決めず、IT導入支援事業者を通じて事務局に確認するのが確実です。
法人の種類と職員数、入れたいものの名前を伺えば、どの分かれ目で止まるかを一緒に仕分けます。無料です。
公式LINEで相談する分かれ目2|買うものがソフトかどうか
福祉の現場でいちばん多い勘違いが、ここです。
事務局の通常枠のページでは、対象経費はソフトウェア購入費とクラウド利用料(最大2年分)が必須で、機能拡張やデータ連携ツール、セキュリティ、導入設定や研修、保守サポートなどを付けることができる形になっています。ハードウェアは対象外と明記されています。
公募要領の別紙2を見ると、介護業の業種固有プロセスとして、ケアプラン作成管理、サービス計画書・機能訓練計画策定管理、介護記録管理、施設管理、そしてセンサーによる睡眠や脈拍などの状態管理、見守りシステムが並んでいます。見守りが一覧にあるので機器も入ると読みたくなりますが、通常枠で補助の対象になるのはソフトウェアの部分です。センサーやカメラ、記録を入力するタブレットの本体代は、この枠では出ません。
ほかにも、公募要領が対象外として挙げているものがあります。福祉の事業所に関係しそうなものを抜き出します。
- リース、レンタル契約のITツール
- 中古品
- 交付決定の前に購入したITツール
- 補助金の申請や報告にかかる申請代行費
- 交通費、宿泊費、消費税
そしてもう1つ。この補助金は、法人が自由に選んだソフトに出るものではありません。事務局に登録されたIT導入支援事業者が提供し、事務局に登録されたITツールだけが対象です。今使っている記録ソフトの会社が登録していなければ、そのソフトでは申請できません。
見積書に機器代が入っている場合は、ソフトとサービスの部分と、機器の部分を分けて書いてもらってください。どこまでが補助の対象かが、その場で見えるようになります。
名前のAIは、条件でも加点でもない
補助金の名前にAIが入ったので、AIを入れないと出せないのか、AIなら通りやすいのか、という質問も受けます。
公募要領では、対象になるITツールを、労働生産性の向上に資するソフトウェア(AIを含む)などの総称と定義しています。AIを含む、であって、AIに限る、ではありません。AIを使っていない記録ソフトや請求ソフトでも、登録されたITツールであれば対象です。私が公募要領(2026年8月28日改訂分)を読んだ範囲では、AIを搭載していることを申請の要件や加点の条件にする記載は見当たりませんでした。ツールにAIが入っているかどうかは、事務局のITツール検索で機能概要を見て確認できるとされています。
注意が要るのは、生成AIの文章作成ツールやチャットボットだけを入れたい場合です。公募要領では、文書作成ソフトやチャットボットのように、業種や業務が限定されないツールを汎用プロセスと呼んでいます。そして、汎用プロセスのみを持つITツールは単独では交付申請できないと書かれています。介護記録管理やケアプラン作成管理のような業務プロセスと一緒に申請したときに、1プロセスとして数えられる扱いです。
つまり、職員が使うAIのチャットだけに補助を付けることはできません。記録や計画書のソフトとあわせて入れる計画にして、はじめて申請の形になります。
分かれ目3|残りは月曜と火曜の2日
今日は9月26日の土曜日です。5次締切は9月29日(火)17時で、それまでの平日は28日の月曜と29日の火曜しかありません。事務局のコールセンターの受付は平日の9時30分から17時30分で、締切の前日と当日は電話が大変混み合うと案内されています。
この2日で出せるかどうかは、法人の努力で縮められない工程が終わっているかで決まります。事務局サイトでは、GビズIDプライムの発行はおおむね2週間、SECURITY ACTIONの宣言はおおむね2から3日が目安とされています。どちらも申請の前提条件です。申請そのものは、IT導入支援事業者が申請マイページに法人を招待するところから始まり、法人が自社の情報と書類を入れ、支援事業者がツールの情報と事業計画の数値を入れ、最後に法人が内容を確認して宣誓し、提出します。
今日の時点で、次の3つがそろっているかを見てください。
| 確かめること | そろっていない場合 |
|---|---|
| GビズIDプライムでログインできる | 目安の日数からみて、5次締切は現実的でない |
| SECURITY ACTIONの一つ星か二つ星を宣言済み | 目安が2から3日のため、月曜の申し込みでは間に合わない見込みが高い |
| 支援事業者から申請マイページへの招待が届いている | 月曜の朝いちばんに支援事業者へ電話し、対応できるかを聞く。できないと言われたら今回は見送る |
3つそろっていても、急いで出すことが正解とは限りません。公募要領では、通常枠の申請は1法人につき1回で、同時に複数は出せません。事務局から再提出を指示された場合を除き、一度出した交付申請は結果が公表されるまで取り下げられないとされています。書類や事業計画の数値に自信がないまま出すと、その回は直せないということです。
出すと決めた場合、GビズIDプライムの取得から書類までの確認の順番は、デジタル化・AI導入補助金2026 福祉事業所が9月29日までに確認する順番に7つの工程として書いてあります。締切直前の今は、その7番目、宣誓と提出を月曜のうちに終えることだけを目標にしてください。
10月30日締切は、通常枠の締切ではない
今回見送る場合に、次は10月30日だと聞いた、という話も耳にしました。事務局の事業スケジュールのページを確認すると、2026年10月30日(金)17時が締切とされているのは、複数者連携デジタル化・AI導入枠の5次締切分です。複数の事業者がグループで申請する別の枠で、1法人で記録ソフトを入れる申請とは形が違います。
通常枠、インボイス枠、セキュリティ対策推進枠の6次締切分は、9月26日時点で掲載内容なし、今後更新予定とされています。事務局は確定している募集回のスケジュールのみを公表するとしているので、次があるともないとも言えない状態です。理事会や上長に報告するときは、10月30日を通常枠の次回締切として書かないようにしてください。
県の介護テクノロジー補助と、どちらで取るか
福祉の事業所には、もう1つの選択肢があります。都道府県が行っている介護テクノロジー導入支援事業です。厚生労働省の事業概要(令和7年度)では、地域医療介護総合確保基金を使った事業として、介護ロボットや、介護ソフト、タブレット端末、インカムなどのICTの導入が支援の対象に挙がっています。機器の本体まで視野に入る点が、ソフトに限られる通常枠との大きな違いです。ただし実際の対象や補助率、締切は県の要綱で決まり、県ごとに違います。
両方を検討するときに押さえておくことは1つです。デジタル化・AI導入補助金の公募要領には、国や中小機構、そのほかの独立行政法人の他の補助金等と重複する事業は、補助事業の対象として含まないことが申請要件として書かれています。県の補助金の側にも、重複の扱いが要綱に書かれているのが普通です。
ですから、同じソフトの同じ経費を2つの補助金に出す前提は、最初から外してください。そのうえで、ソフトはこちら、機器は県、というように経費を分けられるのか、それともどちらか一方にまとめるのかを、両方の要綱と窓口で確かめます。ここは県によって答えが違うので、この記事では一律の結論を書きません。県ごとの補助の状況は介護記録ソフトは補助金の対象になるか|47都道府県の補助率一覧と全国の福祉DX・介護テクノロジー補助金ガイドにまとめています。
国の補助金と県の補助金、どちらで何を取るかの整理だけでも、外から見た方が早いことがあります。見積書をお持ちならそれを見ながら仕分けます。
公式LINEで相談する見送ると決めたら、10月にやる3つ
今回は出さない。そう決めることは、失敗ではありません。準備が足りないまま出して取り下げられない状態になるより、ずっと健全です。見送ると決めたら、次の募集回の日程が出る前に、10月のうちに次の3つを片づけておきます。
1つめは、前提の手続きを済ませることです。GビズIDプライムとSECURITY ACTIONは、申請の前提でありながら法人の努力では早められません。次の日程が出てから動くと、今回と同じところで止まります。GビズIDプライムを持っている法人も、有効期限をログインして確かめておきます。
2つめは、入れたいソフトが何プロセスで登録されているかを、支援事業者から文章でもらうことです。補助額が150万円を超えるかどうかはプロセス数で決まり、過去に交付を受けたソフトとプロセスが完全に一致すると不採択とされています。この照合の仕方はデジタル化・AI導入補助金2026 3次締切の採択率は44%に書きました。
3つめは、導入前の数字を1か月とることです。事業計画には労働生産性の目標を書くことになり、課題と機能が噛み合っているかが審査で見られます。記録や月末の請求に誰が何時間かけているかを、作業の開始時刻と終了時刻のメモで取っておけば足ります。測り方は介護テクノロジー補助金は採択後に止まるの3つめのやり方がそのまま使えます。
よくある質問
- 社会福祉法人や障害福祉の事業所でも、デジタル化・AI導入補助金は使えますか。
- 使えます。通常枠の公募要領では、医療法人と社会福祉法人は常時使用する従業員の数が300人以下であれば補助対象です。株式会社や合同会社は主たる業種ごとの資本金か従業員数の基準で、特定非営利活動法人や一般社団法人は主たる業種に記載の従業員規模以下であることで判断します。数えるのは事業所ではなく法人全体で、役員は含みません。
- 見守りセンサーやタブレットの購入費は対象になりますか。
- 通常枠では対象になりません。事務局の通常枠のページでは、対象経費はソフトウェア購入費とクラウド利用料(最大2年分)が必須で、ハードウェアは対象外とされています。公募要領の介護業のプロセスには見守りシステムやセンサーによる状態管理が挙がっていますが、補助の対象はソフトウェアの部分です。リースやレンタル契約のツール、中古品も対象外です。
- 生成AIの文章作成ツールだけを申請できますか。
- 単独ではできません。公募要領では、文書作成やチャットボットのように業種や業務が限定されない汎用プロセスのみを持つITツールは、単独では交付申請できないとされています。介護記録管理やケアプラン作成管理などの業務プロセスと組み合わせた場合に、1プロセスとして数えられます。また、対象はIT導入支援事業者が提供し事務局に登録されたITツールに限られます。
- 10月30日締切というのは、通常枠の次の締切ですか。
- 違います。事務局の事業スケジュールのページで2026年10月30日(金)17時が締切とされているのは、複数者連携デジタル化・AI導入枠の5次締切分です。通常枠、インボイス枠、セキュリティ対策推進枠の6次締切分は、2026年9月26日時点で掲載がなく、今後更新予定とされています。
まとめ|今日確かめるのは、招待が届いているか
デジタル化・AI導入補助金は、福祉施設でも使えます。分かれ目は3つでした。法人の種類と法人全体の人数。買うものがソフトかどうかで、機器の本体や、生成AIのツール単独は通常枠では出せないこと。そして、9月29日17時までに残っている平日が2日しかないこと。
今日やることを1つだけ選ぶなら、支援事業者から申請マイページへの招待が届いているかを確かめることです。届いていて、GビズIDプライムとSECURITY ACTIONもそろっているなら、月曜のうちに宣誓と提出まで終える。どれかが欠けているなら、今回は見送ると決めて、10月の3つに回す。どちらに決めても、土曜のうちに決めておけば月曜の朝を迷わずに使えます。
出典
- 中小企業デジタル化・AI導入支援事業事務局「デジタル化・AI導入補助金2026 公募要領(通常枠)」(2026年8月28日改訂分まで反映)https://it-shien.smrj.go.jp/pdf/it2026_koubo_tsujyo.pdf(ITツールの定義、補助対象者と常時使用する従業員の定義、他の補助金等との重複の要件、汎用プロセスの扱い、補助対象外の経費、申請単位と申請回数、取下げの制限、別紙2の介護業のプロセス、コールセンターの受付時間)
- 同事務局「事業スケジュール」https://it-shien.smrj.go.jp/schedule/(通常枠の5次締切と交付決定日、複数者連携デジタル化・AI導入枠の5次締切、6次締切分が掲載内容なしであること。2026年9月26日確認)
- 同事務局「通常枠」https://it-shien.smrj.go.jp/applicant/subsidy/normal/(補助率、補助額、対象経費、ハードウェアが対象外であること)
- 同事務局「申請を行う前に必要な手続き」https://it-shien.smrj.go.jp/applicant/measures/(GビズIDプライムとSECURITY ACTIONの発行期間の目安)
- 同事務局「新規申請・手続きフロー詳細」https://it-shien.smrj.go.jp/applicant/flow/(申請マイページへの招待から宣誓と提出までの流れ、締切前日と当日の電話の混雑)
- 厚生労働省「介護テクノロジー導入支援事業(地域医療介護総合確保基金(介護従事者確保分))」事業概要(令和7年度)https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001476528.pdf(介護ロボットとICTの導入支援の対象)
この記事は2026年9月26日時点で公開されている情報に基づいています。事務局は制度内容やスケジュールが変更される場合があるとしています。通常枠の6次締切の日程が公表された場合は、内容を確認のうえ追記します。
出すか見送るか、月曜の朝までに一緒に決めませんか
法人の種類と職員数、GビズIDプライムとSECURITY ACTIONの状況、入れたいものの名前と見積書を伺えば、3つの分かれ目のどこで止まるか、国と県のどちらで何を取るかを1枚にしてお返しします。採択の見込みや、公表されていない日程の予想はしません。申請マイページの入力と提出は、申請者ご自身と支援事業者で行っていただきます。
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