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生産性向上委員会で生成AIをどう話し合うか|そのまま使える議事録の型つき

対象:施設長・委員会の事務局最終更新:2026-09-29著者:合同会社サン 代表 菅野 竜輔

生産性向上委員会で生成AIを話し合うときは、どの業務の時間を減らすか、個人情報をどう扱うか、効果をどう測るか、次回までに誰が何をするか、の4点を決めます。委員会は道具を紹介する場ではなく、この4点を決めて議事録に残す場です。生成AIを使うことは委員会の要件ではないので、議題の候補の1つとして、この4点に沿って話せば足ります。この記事では、基準省令と厚生労働省の資料で確かめられることだけを使って、委員会の決まりごと、形だけにならない議題の立て方、そのまま使える議事録の型を整理しました。

生産性向上委員会で生成AIをどう話し合うか|そのまま使える議事録の型つき の要点をまとめた図(合同会社サン 福祉DX お役立ちブログ)

生産性向上委員会は、いつから何を求められているのか

令和6年度の介護報酬改定で、施設系、居住系、短期入所系、多機能系のサービスの運営基準に、利用者の安全並びに介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減に資する方策を検討するための委員会が置かれました。現場で生産性向上委員会と呼ばれているのはこの委員会です。訪問介護や通所介護の運営基準には置かれていません。

たとえば特別養護老人ホーム(指定介護老人福祉施設)の基準では、第35条の3で、業務の効率化、介護サービスの質の向上その他の生産性の向上に資する取組の促進を図るため、この委員会を定期的に開催しなければならない、と定めています。委員会はテレビ電話装置等を活用して行うことができます。

ただし経過措置があります。令和6年1月25日の厚生労働省令第16号の附則第4条で、令和6年4月1日から令和9年3月31日までの間は、この規定の「しなければ」を「するよう努めなければ」と読み替えるとしています。現行の省令のままなら、令和9年4月1日からは努力義務ではなくなります。令和9年度の介護報酬改定の議論の中で扱いが変わる可能性もあるので、年明けに出る改定の省令と通知は確かめてください。

委員会の運営のしかたは、厚生労働省の解説資料「令和6年度介護報酬改定 生産性向上推進体制加算について」に整理されています。要点は次の表のとおりです。

項目加算を算定しない場合生産性向上推進体制加算を算定する場合
構成員管理者やケア等を行う職種を含む幅広い職種で構成することが望ましい。外部の専門家の活用も可能管理者だけでなく、ケアを行う職員を含む幅広い職種やユニットリーダー等の参画が必要
開催頻度形骸化しないよう留意したうえで、事業所の状況を踏まえて適切な頻度を決める三月に一回以上
議題介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン等を参考に進めるガイドラインを参考に、利用者の安全及びケアの質の確保、従業者の負担の軽減及び勤務状況への配慮、介護機器の定期的な点検、職員に対する研修の4事項を検討
開き方事故発生の防止のための委員会など、ほかの会議と一体的に設置・運営することも可能。他のサービス事業者との連携等による実施、テレビ電話装置等の活用も可能。生産性向上の取組を進める委員会であれば、法令と異なる名称でもよい

加算を算定する場合は、経過措置の期間中であっても委員会の設置が必要とされています。加算の単位数と要件の全体は、在宅サービスへの広がりも含めて訪問介護とデイにも生産性向上の加算が来る|令和9年度改定でいま準備できることにまとめています。

委員会の議題が形だけになるのはなぜか

決めることが決まっていないまま、集まることだけが決まっているからです。厚生労働省の資料が、加算を算定しない場合にも、形骸化しないよう留意すると念を押しているのはこのためだと読めます。

形だけになる委員会には、よく似た流れがあります。

生成AIは、この1つ目の流れに入りやすい題材です。便利な使い方の実演を見て、すごいですね、で終わってしまう。道具の紹介は委員会の外でも、研修でもできます。委員会の時間は、紹介を聞いたうえで何を決めるかに使います。

生成AIは委員会で何を決めればいいのか

生成AIを議題にするときに決めるのは、次の4点です。この4点は生成AIに限らず、インカムでも記録ソフトでも同じ形で使えます。

決めること委員会で出す問い決まった状態
1. どの業務の時間を減らすかいま職員の時間をいちばん取っている事務の仕事はどれか。そのうち利用者の個人情報を入れずに済むものはどれか業務が1つに絞られ、担当者が決まっている
2. 個人情報の扱い入れてはいけない情報は何か。名前や日付をどう置き換えるか。誤って入れたら誰に報告するか職員が迷ったときに見る1枚のルールがあり、責任者が決まっている
3. 効果の測り方試す前と後で、何を、誰が、どの期間測るか測る項目と記録のしかたが決まっている
4. 次回までの宿題次の委員会までに誰が何をするか。いつまでに担当者と期限が議事録に書かれている

1. どの業務の時間を減らすか

最初に選ぶのは、毎週同じ形でくり返し、利用者の個人情報を入れずに済む事務の仕事です。研修資料や掲示物の下書き、委員会や会議の資料の要約、通知文の読み解きなどが候補になります。ケース記録や家族への個別の文書は、置き換えの手順が現場に根づいてから後に回します。

業務を選ぶときは、ケアを行う職員の声を聞きます。厚生労働省の資料も、加算を算定する委員会について、現場職員の意見が適切に反映されるよう、ケアを行う職員を含む幅広い職種の参画を求めています。施設長や事務局が選んだ業務より、現場が困っている業務のほうが、試したあとに続きます。

2. 個人情報の扱い

厚生労働省の解説資料は、委員会の議論の進め方について、医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス等を遵守すること、としています。生成AIを議題にするなら、委員会で話すことそのものが個人情報の扱いの確認になります。

決めるのは、利用者・家族・職員を特定できる情報を入れないこと、置き換えれば使える範囲、使ってよい業務、出力は下書きとして人が確かめること、誤って入れたときの報告先、の5点です。一覧と文例は社会福祉法人がChatGPTに入れてはいけない情報の一覧に載せています。法人として利用ルールを定めるかどうか、理事会にかけるかどうかは委員会だけでは決められないので、社会福祉法人が生成AIを入れる順番を参考に、法人本部につないでください。

3. 効果の測り方

測り方は単純にします。担当者を1人か2人に絞り、試す前の2週間、その業務に何分かかったかを毎回メモしてもらいます。次の2週間は生成AIを使って同じ業務をし、同じようにメモします。あわせて、出力を直した回数と、入れてはいけない情報を入れそうになった場面を書いてもらいます。

生産性向上推進体制加算で年に1回報告する業務改善の実績にも、総業務時間と超過勤務時間の変化、年次有給休暇の取得状況の変化などの項目が並んでいます。委員会で時間を測る習慣がついていると、加算を検討するときにも同じ物差しで話ができます。

4. 次回までの宿題

委員会の終わりに、次の回までに誰が何をいつまでにするかを読み上げて、議事録に書きます。宿題がない回は、決めることがなかった回です。次の委員会は、前回の宿題の結果を聞くところから始めます。

御施設の委員会の議事録を拝見して、4点のどこが抜けているか、次回の議題案を一緒に作ることができます。

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議事録には何を書けばいいのか(そのまま使える型)

次の型を、委員会の議事録の用紙としてそのまま使えます。右の列は、生成AIを議題にした回の記入例です。御施設の業務と職種に置き換えてください。

欄書くこと記入例(生成AIを議題にした回)
委員会名・回正式名称と通し番号。ほかの委員会と一体で開いた場合はその旨利用者の安全並びに介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減に資する方策を検討するための委員会(生産性向上委員会)第○回。事故防止委員会と同日開催
日時・形式開始と終了の時刻、対面かテレビ電話か○月○日 14:00〜14:40、対面とテレビ電話の併用
出席者・欠席者職種で書く。外部の専門家が出た場合はその立場施設長、介護主任、ユニットリーダー2名、看護職員、生活相談員、事務長
前回の宿題の結果担当者ごとに、できたか、できなかったか、その理由研修資料の作成時間の記録(介護主任)は2週間分済み。1回あたりの時間を報告
議題1 減らす業務候補に挙がった業務と、選んだ業務、選んだ理由候補は研修資料の下書き、掲示物、会議資料の要約。個人情報を入れずに済むため研修資料の下書きに決定
議題2 個人情報入れてはいけない情報、置き換えのしかた、報告先利用者・家族・職員の氏名、居室番号、日付は入れない。誤って入れたら当日中に事務長へ報告
議題3 測り方測る項目、測る人、期間作成にかかった時間と直した回数を、介護主任が2週間記録
審議の内容出た意見。賛成と反対の両方、ケアを行う職員の意見ユニットリーダーから、夜勤明けに作る資料が負担との意見。看護職員から、医療用語の誤りを必ず確認したいとの意見
決定事項決まったことだけを、1行ずつ研修資料の下書きで2週間試す。出力は看護職員が医療用語を確認してから使う
次回までの宿題担当者、内容、期限介護主任:試行と記録(○月○日まで)。事務長:利用ルール1枚の案(○月○日まで)
職員への周知誰に、何を、どうやって伝えるかユニット会議で決定事項と利用ルールの案を伝える
次回の予定日時と、最初に確かめる宿題○月○日。試行前後の時間の比較から始める

審議の内容と決定事項は、必ず欄を分けてください。話し合ったことと決まったことが混ざると、後から読んだ人が何を実行すればよいか分かりません。

この議事録を録音や手書きのメモから生成AIで下書きする方法は、福祉施設の会議録・法定委員会の議事録をAIで作る手順に、プロンプトの例とあわせて書いています。下書きを使う場合も、固有名を置き換えてから入れ、決定事項・担当・期限が事実と合っているかを委員長か事務局が確かめてから確定します。

1年4回の委員会で、何をどの順に話せばいいのか

加算を算定する場合の三月に一回以上に合わせると、年4回になります。生成AIを1つの業務で試すなら、次の流れで1年が回ります。

回その回で決めること次回までの宿題
1回目減らす業務を1つ選ぶ。入れてはいけない情報と報告先を決める。測る項目を決める試す前の2週間の時間を記録する。利用ルール1枚の案を作る
2回目試す前の記録を確かめ、利用ルールを決める。試す期間と担当者を決める生成AIを使って同じ業務をし、時間と直した回数を記録する
3回目試す前と後を比べる。困った場面とルール違反の有無を確かめる。続けるか止めるかを決める続ける場合は、担当者以外でもできる手順書を1枚作る
4回目1年の振り返り。2つ目の業務に広げるか、来年度に何をするかを決める法人本部や理事会に出す報告をまとめる

毎回すべての時間を生成AIに使う必要はありません。委員会の議題はほかにもあるので、生成AIは1回15分ほどの枠で足ります。加算を算定している施設では、見守り機器や記録ソフトの点検、職員研修といった4事項の確認と並べて、議題の1つとして扱ってください。

障害福祉の事業所では、処遇改善加算の職場環境等要件に生産性向上の区分があり、加算の区分によっては現場の課題の見える化が必須の項目になっています。委員会の形を借りて同じ4点を話す使い方については障害福祉の生産性向上要件A〜G 必須の2つから始めるを参照してください。

施設長と事務局は、開く前に何を準備すればいいのか

委員会の前に、事務局が次の4つをそろえておくと、当日は決めることに時間を使えます。

施設長の役割は、委員会で決めたことのうち、施設の中で決められることと、法人本部や理事会にかける必要があることを分けることです。利用ルールを法人の規程にする、有料のサービスを契約する、といったことは委員会の決定だけでは進められません。議事録の決定事項に、法人本部へ上げる事項として書いておくと、話が止まりません。

よくある質問

生産性向上委員会では、生成AIを必ず議題にしなければいけないのですか。
いいえ。基準省令が求めているのは、利用者の安全並びに介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減に資する方策を検討するための委員会を定期的に開催することで、生成AIを使うことや議題にすることは要件ではありません。生産性向上推進体制加算で導入が求められるテクノロジーも、見守り機器、インカム等、介護記録ソフト等の区分で示されていて、生成AIを使えば要件を満たすという書かれ方はしていません。生成AIは、委員会で話す議題の候補の1つです。
委員会の設置義務の経過措置はいつまでですか。
令和6年1月25日厚生労働省令第16号の附則第4条で、施行の日(令和6年4月1日)から令和9年3月31日までの間は、委員会の規定中の「しなければ」を「するよう努めなければ」と読み替えるとされています。現行の省令のままなら、令和9年4月1日からは努力義務ではなくなります。令和9年度の介護報酬改定で扱いが変わることもあり得るため、年明けに出る改定の省令と通知で確かめてください。
委員会は何か月に1回開けばよいですか。
生産性向上推進体制加算を算定しない場合は、厚生労働省の解説資料で、形骸化しないよう留意したうえで各事業所の状況を踏まえて適切な頻度を決める、とされています。加算を算定する場合は三月に一回以上の開催が必要で、加算を取る場合は経過措置期間中であっても委員会の設置が必要です。
事故防止の委員会など、ほかの委員会と一緒に開いてもよいですか。
厚生労働省の解説資料では、事務負担軽減の観点等から、事故発生の防止のための委員会などほかの事業運営に関する会議を開催している場合は一体的に設置・運営することも可能、とされています。他のサービス事業者との連携等により行うこと、テレビ電話装置等を活用して行うことも可能です。一緒に開く場合も、議事録ではどの委員会の議題として話したかを分けて書いておくと、後から確認しやすくなります。
委員会の議事録を生成AIで作ってもよいですか。
下書きに使うことはできます。ただし、利用者や職員を特定できる情報を入れないよう置き換えたうえで使い、決定事項・担当・期限が事実と合っているかを委員長か事務局が必ず確かめてから確定してください。厚生労働省の解説資料は、委員会の運営にあたって医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス等を遵守することを求めています。

まとめ|委員会は、4点を決めて宿題を書く場にする

生産性向上委員会で生成AIを話し合うときに決めるのは、どの業務の時間を減らすか、個人情報の扱い、効果の測り方、次回までの宿題の4点でした。委員会の設置は現行の省令では令和9年3月31日まで努力義務で、省令がこのままなら4月1日からは努力義務ではなくなります。生成AIを使うことは委員会の要件ではありませんが、決める4点の練習台としては扱いやすい題材です。

次の委員会でやることを1つ選ぶなら、この記事の議事録の型を印刷して、決定事項と宿題の欄を埋めて終わる回にすることです。宿題が書かれた議事録が1枚あれば、次の回は前回の続きから始められます。

出典

この記事は2026年9月29日時点で公開されている情報に基づいています。省令や通知、加算の要件は改定されることがあります。実際に委員会を設置・運営する際は、御施設のサービス種別の運営基準、最新の通知、指定権者の案内でご確認ください。

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合同会社サン / 福祉 × AI・DX / 全国オンライン対応(現地対応は要相談)

最終更新:2026-09-29

菅
菅野 竜輔(かんの りゅうすけ)/ 合同会社サン 代表社員
介護職、施設長、ケアマネジャー、地域包括支援センター、生活困窮者支援を経験。現在は社会福祉法人と福祉事業者向けに、生成AIの導入と定着の伴走をしています。本記事は指定介護老人福祉施設の運営基準と令和6年厚生労働省令第16号の附則、厚生労働省の生産性向上推進体制加算の解説資料と介護分野の生産性向上のお知らせ、医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンスを確認のうえ、AIを利用して作成し、人が事実確認と加筆を行っています。記載は2026年9月29日時点の公開情報に基づいています。
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