東京都の補助は独自2本立て ― まず結論の一覧表
令和7年度から全国の多くの県は、介護ロボット・ICT導入支援を介護テクノロジー導入支援事業という名称に統一して運用しています。東京都はこの名称を使わず、実施主体を公益財団法人東京都福祉保健財団に置いた独自の2事業で運用しています(東京都福祉局・デジタル機器導入促進支援事業の案内ページ。2026-08-23参照)。他県の解説記事の制度名で探すと都のページにたどり着けないので、まず名称と数字を一覧にします。
| デジタル機器導入促進支援事業 | 次世代介護機器導入促進支援事業 | |
|---|---|---|
| 対象の中心 | 介護記録ソフト等の介護業務支援システム、タブレット、Wi-Fi環境 | 移乗・入浴・見守り等の次世代介護機器(介護ロボット)と通信環境の一体整備 |
| 補助率 | 3/4 | 4/5(導入推進事業の一部区分は7/8) |
| 補助上限 | 職員数に応じて100万〜最大500万円 | 機器1台当たり基準額37万5千〜133万4千円、パッケージ型は法人合計1,250万円 |
| 令和8年度の受付 | 要綱・受付時期は財団HPで公表(概要は令和8年5月公表済み) | 事業計画の受付は令和8年8月7日必着で終了 |
| 実施窓口 | 公益財団法人東京都福祉保健財団(都庁の担当は高齢者施策推進部介護保険課) | |
出典:東京都福祉保健財団・令和8年度デジタル機器導入促進支援事業/同・令和8年度次世代介護機器導入促進支援事業(いずれも2026-08-23参照)。金額・要件は年度途中でも変わり得るため、申請前に必ず財団の最新の交付要綱を確認してください。
デジタル機器導入促進支援事業 ― 記録AI・介護ソフト側の補助(補助率3/4・最大500万円)
記録・申し送り・請求をAIやソフトで軽くしたい事業所に直結するのがこちらです。都内で開設している介護保険サービスの事業所が対象で、令和8年度の概要資料では、記録から請求まで一気通貫となる介護業務支援システムの導入経費として、ソフトウェアやクラウドサービスの利用料だけでなく、タブレット端末・スマートフォンなどのハードウェア、Wi-Fiルーターなどのネットワーク機器の購入・設置費まで補助対象に含まれています。補助率は3/4、上限額は職員数で変わります。
| 職員数 | 補助上限額(補助率3/4適用後) |
|---|---|
| 1〜10人 | 100万円 |
| 11〜20人 | 150万円 |
| 21〜30人 | 200万円 |
| 31〜50人 | 250万円 |
| 51〜70人 | 320万円 |
| 71〜90人 | 380万円 |
| 91〜110人 | 440万円 |
| それ以上の規模 | 最大500万円 |
令和7年度からは定員30人以上の特別養護老人ホーム(併設の老人短期入所施設を含む)、介護老人保健施設、認知症対応型共同生活介護、養護老人ホーム・軽費老人ホームも対象に追加されました。また、訪問介護事業所等が令和8年度中にケアプランデータ連携システムで5事業所以上とデータ連携を実施する場合は、基準額に5万3千円が加算されます。出典は財団の事業ページに掲載された令和8年度概要資料(PDF)です(2026-08-23参照)。
次世代介護機器導入促進支援事業 ― 介護ロボット側の補助(補助率4/5〜7/8)
移乗介護・入浴支援・見守り・排泄支援といった、身体的負担の軽減に効く機器はこちらの事業です。令和8年度の概要資料では、導入支援事業・導入推進事業・パッケージ型導入支援事業(見守り支援機器と通信環境の一体整備)の3区分があり、補助率は4/5、導入推進事業の一部区分では7/8。機器1台当たりの補助基準額は37万5千円から133万4千円、パッケージ型は法人合計で1,250万円が上限です(東京都福祉保健財団・令和8年度次世代介護機器導入促進支援事業。2026-08-23参照)。
注意点が2つあります。第一に、令和8年度の事業計画の受付は令和8年8月7日必着で既に終了しています。第二に、機器の購入・リース契約は補助対象事業所として採択(補助内示)された翌日以降でなければ対象になりません。先に買ってから申請する、は通らない制度です。今年度に間に合わなかった事業所は、来年度の受付開始までに機器の選定と現場の合意形成を終えておくのが現実的な動き方です。
自分の事業所が対象か ― 申請前チェックリスト
申請直前の事業所がつまずきやすい点を、確認の順番どおりに並べました。このページだけで一次チェックが終わるようにしてあります。
- 都内で開設している介護保険サービスの事業所か(デジタル機器補助の対象要件。障害福祉サービスのみの事業所は対象外のため、障害分野は個別支援計画のAI活用など運用側の効率化から入るのが現実的です)
- 買いたいものはどちらの事業か(記録ソフト・タブレット・Wi-Fi=デジタル機器/移乗・入浴・見守りの機器=次世代介護機器。両方使う計画も立てられます)
- まだ購入・契約をしていないか(採択の内示より前の購入・リース契約は補助対象外)
- 職員数から上限額を把握したか(上の職員数別の表で自施設の枠を確認)
- 導入後に誰が回すか決まっているか(補助は取れても現場に定着しなければ費用対効果はゼロです。ここが私たちの伴走領域です)
申請から実績報告までの時系列
令和8年度の実際の公表スケジュールから逆算すると、東京都の補助は春に動き出して夏に締まる制度です。デジタル機器は5月に概要が公表され、次世代介護機器は7月に募集要項が出て8月7日必着で締切でした。つまり来年度分の勝負は、年度が明けてからではなく前年度の冬から始まっています。
- 前年度の冬〜春:業務の棚卸しと機器・システムの候補選定。財団の導入前セミナーや個別相談を活用
- 春:概要・交付要綱の公表を確認し、職員数・対象区分から補助額を試算
- 初夏:事業計画・申請書類を作成し、受付期間内に提出(次世代介護機器の令和8年度は8月7日必着でした)
- 採択(内示)後:内示の翌日以降に購入・リース契約。導入と職員への定着支援
- 年度末:実績報告。翌年度の横展開を計画
東京都の現場の前提条件 ― 312万人の高齢者と、区部・多摩・島しょの三つの顔
制度を使う前提として、東京都の現場が置かれた条件を数字で押さえておきます。東京都の統計によると、令和7年9月15日時点の65歳以上人口は312万人で過去最多、うち75歳以上は184万6千人(前年比3万2千人増)とこちらも過去最多です。高齢化率は23.4%で、都民のおよそ4.3人に1人が高齢者。高齢化率そのものは令和元年から横ばいですが、絶対数が増え続けているのが東京都の特徴です(出典:東京都の統計・高齢者人口(推計)。2026-08-23参照)。
地方の県は高齢化率の高さが課題になりますが、東京都は逆で、率は全国より低くても75歳以上の絶対数が毎年3万人規模で積み上がる、量の勝負です。しかも現場の条件は一枚岩ではありません。人材の獲得競争が激しく地価の制約で施設が多層化する区部、在宅・通所の移動距離が課題になる多摩地域、そして職員採用そのものが困難な島しょ部。同じ都内でも、板橋区の特養と多摩地域の訪問介護では効く打ち手が違います。だからこそ都の施策の土台である第9期東京都高齢者保健福祉計画(令和6年度〜令和8年度)(2026-08-23参照)は、機器導入や職場環境の改善を含む介護人材対策を柱に据えており、上で見た手厚い補助2本立てはその実行部隊にあたります。
市区町村別の現場運用ガイド ― 板橋・練馬・北・豊島
補助金と制度はこのページ(都レベル)で押さえ、記録・申し送り・LINE連絡といった現場の運用は市区町村別の記事で深掘りしています。私たちが実際に訪問・支援している城北エリアから順に整えています。
- 板橋区の福祉DX・AI活用ガイド ― 導入実績のある板橋区の記事群の入口。記録・ICT・LINE・放デイの各論へはここから辿れます
- 板橋区の特養のAI活用 ― 特養に特化した申し送り・記録のAI化
- 練馬区の福祉DX・AI活用ガイド
- 北区の福祉DX・AI活用ガイド
- 豊島区の福祉DX・AI活用ガイド
隣県の事業所の方は、埼玉県の福祉AI導入と補助金ガイド・神奈川県の福祉AI導入と補助金ガイドをどうぞ。県によって制度名も補助率も違います。
板橋区の特養での導入実績 ― 都内の現場で実際にやったこと
このページは他県版の使い回しではありません。私たちは東京都板橋区の特別養護老人ホーム、マイライフ徳丸様(社会福祉法人北野会)で、施設の申し送り様式に合わせたオーダーメイドのAI申し送りと、職員がそのまま使えるAI研修を導入してきました。汎用システムを当てはめるのではなく、その施設の記録ルールに合わせて作り、職員が自分たちで回せる形にするのが方針です。経緯と中身は特養マイライフ徳丸様の導入事例で公開しています。
補助金で機器やシステムを入れても、記録の書き方や個人情報の扱いを決めずに配ると現場は使いません。記録のAI化の具体手順は介護記録をAIで効率化する具体手順、障害福祉分野の書類なら個別支援計画のAI活用で解説しています。補助で入れたものを定着させるところまでが導入です。
相談窓口 ― 介護職場サポートセンターTOKYOと、伴走者としてのサン
東京都には生産性向上の取組を総合的に支援するワンストップ窓口として、介護職場サポートセンターTOKYO(東京都福祉保健財団福祉人材対策室)があります。次世代介護機器・デジタル機器の導入や補助金情報の相談を電話03-3344-7275(平日9時〜17時)で受け付けています(出典:介護職場サポートセンターTOKYOの案内ページ。2026-08-23参照)。制度の一次情報はまずここで確かめるのが確実です。
一方で、公的窓口は制度の案内はしてくれても、御施設のどの業務から手を付けるか、採択後に現場へどう定着させるかまでは並走してくれません。私たちは自社でも福祉施設を運営する当事者として、業務の棚卸し、導入計画の言語化、職員研修、定着までを一気通貫で伴走します。機器メーカーの代理店ではないので、売りたいものはありません。
うちの職員数だといくらまで補助が出るのか、どちらの事業に当たるのか。無料で一緒に整理します。
▶ LINEで無料相談よくある質問
- 東京都には国の介護テクノロジー導入支援事業はないのですか?
- 都はその名称を使わず、次世代介護機器導入促進支援事業とデジタル機器導入促進支援事業の独自2本立てで運用しています。実施窓口は東京都福祉保健財団です。
- デジタル機器導入促進支援事業ではいくら補助されますか?
- 令和8年度の概要資料では補助率3/4、上限は職員数に応じて100万円から最大500万円です。記録ソフトだけでなくタブレットやWi-Fi環境の整備費も対象です。詳しくは職員数別の上限表へ。
- 令和8年度の次世代介護機器の申請はもう間に合いませんか?
- 令和8年度の事業計画受付は8月7日必着で終了しています。来年度に向けて、導入前セミナーの受講・機器選定・現場の合意形成を今から進めておくのが定石です。
- 障害福祉の事業所ですが使える補助はありますか?
- この記事で扱った2事業は介護保険サービスの事業所が対象です。障害福祉分野は制度が別枠になるため、まずは個別支援計画や記録のAI活用など運用側の効率化から始めるのが現実的です。御施設の状況に合わせて無料相談で整理します。
- 補助金の申請書類づくりも手伝ってもらえますか?
- はい。対象区分の整理から導入計画の言語化、採択後の職員研修・定着まで伴走します。初回相談は無料です。
東京都の手厚い補助を、現場に定着する形で使い切りませんか
職員数別の補助枠の試算から、導入計画づくり、採択後の定着まで。無料の個別相談を公式LINEで受け付けています。
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